230615 日活 1956年 1h41m 脚本・監督:井上梅次
えらい古臭い作品を見ました。先日久しぶりに会った友人が置いていった本の中に「仲代達矢が語る日本映画黄金時代」(春日太一)があって、大変興味深く読みました。
その中に、すでに劇団では活躍していた仲代が初めて準主役級で映画に出ることになり、その第1作がこの映画だったそうです。なんでもすでに堂々たる地位を築いていた月丘夢路が仲代を気に入って、夫となる井上梅次に強力に推薦した結果、大抜擢となったようです。この時、仲代は23歳!(月丘は34歳、因みに95歳で2017年没)
外国人の父親に死なれ、彼の残した遺産を受け継いだ主人公エミは、今や演劇界では押しも押されもせぬ大女優ですが、どこか満たさないものを抱え、鬱屈した日々。やがて余勢をかって、銀幕に登場するも、常に悶々としているところに現れた颯爽たる若手男優が仲代演じる長沼です。共演したことをきっかけに親密度を増していきますが・・・
なんだか、仲代の実生活をそのまま投影したかのような展開が大いに興味を惹きます。それにしてもこの頃の月丘夢路の美貌ぶりには驚きます。割と晩年の作品しか見た記憶がなかったものですから、こんなハリウッドばりの女優が当時の日本にもいたとは、認識を大いに改めた次第。
面白いのは後に名を馳せることになる若い日活スターがまだ駆け出しで大挙出演していることです。北原三枝、長門裕之、芦川いづみ、etc.