191105
吉野石膏が近代絵画、とりわけ印象派の作品を相当所蔵しているらしいことはしっていたが、まさかこれほどとは!圧巻の所蔵量とその質の高さには驚く。
夕方の6時に受付と同時に入館、30分ほど自由に鑑賞し、気に入ったものは画像に収める。6時半、いつものようにトークショーの始まり。
この「シュザンヌ・アダン嬢の肖像」は、本展での展示全68点中、4点のみがパステル画、さらにそのうち3点が印象派で、その一点。親交のあった家族に、ルノアールが友情の証としてその家の娘を描いたもの。
3階の中心にあるこの画室、中央部分にこの湾曲する仕切りがあり、左から順にルノアールの「シュザンヌ・アダン嬢の肖像」、ドガの「踊り子たち、ピンクと緑」、そしてメアリー・カサットの「マリー=ルイーズ・デュラン=リュエル嬢の肖像」と、いずれもパステル画の傑作が並ぶ豪華な曲面である。ちなみに、デュラン=リュエルとは、印象派作品の普及に努めたやり手の画商の名前。
ここのピンク系の壁面、反対側は補色のグリーン系になっていて、この画室内のある作品の色彩からヒントを得たのだそうだ。答えを聞き漏らした。
自らは印象派には属さず、先駆け的な役割を果たしたマネ、印象派画家から慕われ、兄貴分、親分的な存在であった。あまり画面に陰影をつけず平板なタッチが特徴。背景ものっぺりしたもので、この作品では顔のあたりの背景を黒っぽくしているが、いかなる効果を狙ったのか。
ゴッホ初期の作品。依頼主からは食堂に飾る絵ということだったが、依頼主の期待に反して、こういう図柄になったのはいかにもゴッホらしいと言える。アルルに移ってからは頻繁に作品に登場することになる太陽が、オランダ時代にもすでに登場し、画面にアクセントを与えるように効果的に使われている。
モネも仲間の死を悼み、遺族のために奔走したようだ。普段は、モネやルノアールたちより、高く売れることのなかったシスレーのこの作品にはとびきりの高値がついたというのもモネたち印象派仲間の功績の一つかもしれない。
ほかに著作権が切れていないため、撮影不可扱いになったのが、ルオー、ブラマンク、ブラック、ミロ、ピカソ、ヴァン・ドンゲン、シャガールの作品が相当数、展示されていた。見どころ、満載の企画展。→ 詳細は同美術館のホームページ参照。
会期は来年1月20日まで。
なお、上記撮影については、主催者から特別な許可をいただきました。