210814 デンマーク 88分 脚本・監督:グスタフ・モーラー
現在、Netflixで見ているのが全175話という長大な作品、「ブラックリスト」で、まだやっと4割ぐらいまで。ただ、飽きさせない作り込みにはまりこんで、当分かかりきりになりそうなので、一休みして、短めの単発の作品を見ることに。
まずデンマーク映画というのはかなり珍しいです。しかも出演者がたった一人(同僚は複数出てきますが、セリフらしいせリフがあるのは一人だけ)主人公のアスガー・ホルムというのは警察官。捜査中のミス(誤って若い男性を撃ち殺してしまう)から、一線を外され、緊急通報司令室、ま、いわば110番担当という職場に回されてしまっています。
もちろん、当人は不満たらたらで、周囲にも結構当たり散らしていたらしく、同僚にそれを謝っているシーンがあります。まあ、翌日予定されている裁判で、元相棒に偽証をさせることになっているらしく、そこを切り抜ければまた一線に戻れると、ここでは大いに手抜きして、かかってくる緊急電話にも適当に対応しております。
そんな中、誘拐されたと思われるイーベンという女からの電話に緊張します。泣きながら語るところによれば、ワゴン車のトランクルームに押し込められ、中はまっくらで、と。うまく”犯人”をそらすつもりで、「はい」か「いいえ」で質問に答えればいいからと宥めながら、会話を続けます。この辺りの緊迫する流れの持って行き方は見事です。
事件性を確認したら、あとは一線の部隊に引き継げばいいし、自分の持ち時間はあと15分で、今日は解放されることになっているのに、元の身分というか立場で身体が自然に動いてしまうんですねぇ。当然、上司からもこれまでもたびたび注意はされているように描かれていますが、とうとう自席を離れて、なんか個室のようなところで作業を続けようとします。
単なる誘拐事件と思って突っ込んでいくと、なにやら様相が当初おもったものとは違う方向へと。でも、もう後戻りができません。誘拐犯と思われたのは実は夫。自宅では、まだ赤ん坊の長男が殺されていることが判明するのですが、夫が犯人と決めてかかっているところに落とし穴が。
その後、驚きの展開が待ち受けており、それをきっかけに翌日の裁判での偽証を頼んだ相棒には・・・結局ぎりぎりのところで、良心が勝り、罰を受ける覚悟が生まれるのでしょうね。
とにかく音声だけで、これだけハラハラドキドキさせ得るのは、脚本の出来映えが圧倒的だったことによると思います。まちがいなく佳作です。