ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

二期会「魔笛」@東京文化会館

210911 このリンツ州立劇場との共同制作公演シリーズ、再再演とのことです。この後、さらに地方での公演も控えていて、それでこのシリーズは打ち止めになるのでしょうか。

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AMONとMOZART, 同じフォント/ポイントで併記とは恐れ入りました。

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指揮者がコロナの関係で当初予定していた人から、急遽、このリトアニアの女性、エドレ・シュレキーテ(こんなややこしい名前、絶対に覚えられない!)に変更になったそうです。彼女のことは二期会の案内に以下のように紹介されています。

リトアニア出身のシュレキーテは、ザルツブルク音楽祭ライプツィヒ歌劇場チューリッヒ歌劇場、フランクフルト歌劇場等に登場した欧州期待の若手指揮者の一人です。来シーズンには、リンツブルックナー管弦楽団の首席客演指揮者就任とバイエルン州立歌劇場でのデビューが決まっています。今年、『音楽の友』誌において「今大注目の新星」として紹介され、国内でも注目を集め始めた逸材が早くも初来日を果たします。

演出もなかなか楽しめましたけど、やはり特筆すべきは装置でしょうか。それと照明のすばらしさもあり、普段、「魔笛」では後半に毎回眠気を催すのですが、今回はしっかりと鑑賞できたのはそうした物珍しさがあったからでしょう。

装置デザイナーのボリス・クドルチカポーランドを拠点に活躍するスロヴァキア人で、すでに二期会では常連、宮本亜門ともなんどかコラボしているそうです。ただ、オペラの装置デザインはそれほど長くやっていたわけではないとか。

実は、6年前の公演もこの同じ会場で見ていたのですが、同じセットデザインだったこと、失念していました。キャスティングもかなり重なっています。

装置そのものは、むしろ簡素というかさっぱりしたものですが、投影するプロジェクション・マッピングの技が冴えていましたねぇ。こういうのを使えば、後半、タミーノとパミーナが試練の一つとして火の中、水の中を魔笛の力でくぐり抜ける場面などに威力を発揮していたようです。火の中で、原爆や水爆のようなキノコ雲はちょっといただけませんでしたが、概ね成功していたと思います。

終盤、例のウィトリウィウスの人体図が空中に浮かぶような、一瞬ホログラムかと錯覚しましたが、その時のオケが奏でてた調べがバッハかと思わせるようなバロック調であることに初めた気がつきました。なんですかねぇ、急にそこだけ切り取られたように感じられました。もしかすると毎度眠気を催す場面で、覚えていなかっただけでしょうか。

出演者、どなたも安定した力量を存分に発揮されていました。やはり、1番の聞かせどころとも言える夜女は安井陽子さんが絶妙の歌唱を披露されました。ただ、例の最高音に達する直前の音にほんの少し狂いが生じていたように、私の耳には感じられましたが、自分の方がおかしいのかも知れません。

それから子役の出番がやけに多いなぁと思いました。童子は結構重要な役を担っているのは知っていますが、これまでこれほど何度も登場することはなかったと、いささか意外でした。

今日は舞台上、マスクを付けているキャストは皆無でした。また、客席は1階の前方から中央部、かなり密状態。途中で売り止めにしたようですが、もう少しうまく散らすことができなかったのかと思いましたが、売り出し時はこの時期だから、かなり下火と想定していて、途中から売り止め判断に至った結果でしょう。