ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

ボローニャ歌劇場引越し公演に

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このところ、海外からのオペラの引越し公演は珍しくありません。ソリスト陣以外に、オケ、合唱団から舞台装置、照明などなど、全部引き連れてくるので、当然チケット代はそれなりになります。ちなみに愚亭が買ったのはSS席で、@¥38,000で、まあ、内容からすれば妥当な値段かなと自分では納得していました・・・が、終わってみれば、コスパはそれほどよくはありませんでした。

理由は簡単で、主役の二人が本調子でなかったこと。というより、マリオ・カヴァラドッシを演じたアルゼンチン人のマルセロ・アルバレス、すでに61歳でもあり、峠はとっくに超えています。高音域に差し掛かるとその都度、ギアチェンジするので、歌詞が切れ切れに聞こえてきます。さすがにこの唱法はまずいでしょう。

一方、タイトルロールのマリア・ホセ・シーリさん、伸び盛りの46歳、ウルグアイ出身で今売り出し中というところなんですが、今日は不調でしたね。特に聞かせどころ2幕の「歌に生き、恋に生き」は、いよいよ近づいたところで、わからないように咳き込んでいましたし、かなり水分補給をし、さらに口の周りを仕切に撫で回すような仕草が気になりました。

案の定、この歌劇、最大のきかせどころで、本領不発でした。それでもブラーヴァと飛びましたが、ちょっとねぇ〜、がっかりしましたよ。登場した瞬間に思いましたが、あまりにも体格がそれまで画像や動画で見ていたのとは違って、1.5倍ほど増量して、歌い方に変化が出てるんじゃないでしょうかね。

ひとりだけ圧倒的だったのはスカルピアのアンブロージョ・マエストリ、主役級で唯一のイタリア人、ひとり気を吐いたって感じで、まあまあ彼のおかげでなんとかメンツを保てた公演だったでしょうか。マエストリ、ものすごくデカくて、おかげで増量したシーリさんも可愛らしく見えたし、大柄な方のアルバレスも小さく見えました。

それでも引越し公演だけあって、舞台の見事なこと!とりわけ2幕、ファルネーゼ宮殿内のローマ警視総監執務室の豪華さには目を見張りました。やはり、オペラはこうでないとねぇ〜〜!

当日、それほど乾燥していたわけではないのですが、3人とも水分補給をこれでもかというほどやっていました。

マリオは1幕でいきなり「妙なる調和」を歌うのですが、終わると、イーゼルの下に準備していたコップでさっそく喉を潤してましたし、2幕ではトスカもスカルピアもひんぱんに水を飲んでました。

その場面は宮殿のローマ警視総監執務室での食事中ということで、まったく不自然ではなかったですが、3幕、マリオが銃殺される前の最後のアリア「星は光りぬ」の後に、なぜそこに?という感じで水の入ったコップが!(先日の「ドン・カルロ」ではエリザベッタがなんとペットボトルを持ち込んで飲みましたからアゼン・ボーゼンでしたが・・・)

歌劇場管弦楽団、見事な演奏でした。裏で歌う合唱団も素晴らしくて、この辺りは引越し公演の強み、巧みですかね。

ウクライナ出身のマエストロ、オクサーナ・リーニフさん、普通は登場すると、指揮台から聴衆に向かって挨拶するのですが、今回は私の位置からはまったく見えませんでした。上の階からは見えたのでしょう。カーテンコールで初めてお姿を見てびっくり。ほんとに小柄で、日本人の中でも小さい方かも知れません。

まあまあ、A.マエストリのおかげで、満足して帰途に着きました。今日も会場内では、休憩中もさんざんぶらぶら遊弋したのですが、知った顔にはまったく出会うことはありませんでした。昔はずいぶん出会いが多かったのに、ちょっと寂しいですね。

今日は興奮していたのか、時間間違えて早く上野に着いてしまったので、ぶらぶら付近を散策しました。

小春日和で、駅前の人出、はんぱないです。

最近、ほとんどチェックしなくなった西洋美術館、こんなものをやってます。

カレーの市民」に久しぶりにご挨拶

さすがに今日は5階席まで入ってました。

ちょうど60年前の1963年10月、第4回イタリア歌劇団が一月ほどここで公演。翌年にイタリア行きを控えていた愚亭、必死で渡航費を稼ごうと、大学の代わりにここに来て終日、歌手やスタッフの世話に明け暮れていたのを懐かしく思い出していました。