220308 WEST SIDE STORY
米 2時間36分、監督:スティーブン・スピルバーグ、1961年製作「ウェスト・サイド物語」のリメイク。その時の製作陣は、監督:ロバート・ワイズ(製作も)、ジェローム・ロビンス(原作[アーサー・ロレンツと共同]、振付も)、脚本:アーネスト・レーマン、そして音楽はもちろんレナード・バーンスタイン作曲、スティーブン・ゾンドハイム作詞。今考えるとものすごい陣容ですよね。
今回は脚本にトニー・クシュナーという名前が。そしてオケの指揮は新進のグスターボ・ドゥダメル(ヴェネズエラ)が担当しています。
ところが肝心の振付ですが、詳しいはずのIMDbには記載なし!!!Allcinemaでやっと探したのはまだ30代のジャスティン・ペックという人物。さらに調べるとなんと単にadditional crewというマイナーな扱いです。これって??? ということは、ジェローム・ロビンスの振付をそのまま?ということではないのですかね。例の脚を直角に上げるような、当時一気に流行ったあのポーズはほぼ見られませんが、随所にロビンス振付を彷彿させる場面があるので、少しだけ変更して踏襲したってこってすか、よく分かりません。(⬆︎ポスターには一応載せていますね)
どうも昔話が長くなって申し訳ないですが、愚亭がオリジナルを見たのは大学2年の春で、ちょうど60年前になります。それまではもっぱらロジャーズ/ハマーシュタイン・コンビによるミュージカルに夢中になっていて、ウェストサイドを見た時の衝撃はやはり並はずれていましたね。曲もさることながら、やはりダンスシーンが実に新鮮でした。
著名なミュージカルは舞台や映画でなんどもやりますし、日本でも製作されたりしています。ウェスト・サイド・ストーリーもまたしかり。ただ、今回、これだけ大掛かりなプロダクションで名匠スピルバーグが作ろうと思ったきっかけはなんだったんですかね。あれだけオリジナルが優れていると、とてもその気になれないと思うのですがね。どうやら、今の世界を覆っている分断を断ち切るのはただ愛の力、と言いたかったのだろうと言う人も。
果たせるかな、愚亭にはやはりとてもオリジナルを凌げるものではなく、亜流というような感じでしかないのかなと思いました。でも、しかしこれはこれで素晴らしい出来栄えで、なんども感動し、ウルウルしました。とりわけ体育館でのダンス、路上でのダンス、マリア、トゥナイトなど。
コスチューム、音響、照明、カメラワーク(ヤーヌッシュ・カミンスキー)など、どこをとっても素晴らしいのです。ただ、惜しむらくは、役者でしょうかね。オリジナルの出演者に比べると、どなたも没個性というんでしょうかね、訴えてくる力が弱い、そこなんです。つまりはキャスティングにもう一工夫欲しかったかな。
そんなのは好みの問題だよ、と言われそうですが、ジョージ・チャキリスを始め、リチャード・ベイマー、ナタリー・ウッド、リタ・モレノ、ラス・タンブリンがどれだけ素晴らしい演技を見せてくれたか。これって、単なる懐古趣味ですかね?そうかも知れないし、それでもいいって気がします。
そんな中、今回、製作総指揮にも名前のあったリタ・モレノが、オリジナルにはない役(ジェッツの溜まり場のドラッグストア店主を女性に変更)で登場していたのは嬉しいことでした。きれいに老けましたね。なにせEGOT, エミー賞、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞を獲得した数少ないアーティストですからね。
当時の面影がまったくないので、なかなか気がつきませんでしたが、やはり60年前のアニータでは、実際以上に暗めの濃いメイクをされていて、彼女は反対だったらしいです。それはともかく、スピルバーグもやりますね、彼女のためにこんな役を用意するなんて。
ともあれ、これは紛れもなく佳作です。若い人たちにはぜひ見てほしい1本です。