221015
さんざん話題になった作品なので、今更細かいコメントはやめておきます。
東日本大震災での出来事です。フィクションですが、かなり実話的な匂いもします。主役は佐藤健が演じる男、利根です。いい味をだしているんですね、この佐藤が。いい俳優だとは思っていましたが、この眼がいいんです。ちょっと見渡してもこの味が出せる役者はいないんじゃないですかね。眼だけで演技ができると言えるでしょう。
そして、黄色がテーマカラーになっています。阿部寛演じる刑事は、あの日、妻子を奪われます。自分が護れなかったことを苦にして仕事に鬼のように打ち込みます。子供がその日、着用していたのが黄色のパーカだったようです。これが伏線になります。
猟奇殺人事件の犯人と思われた利根、いかにもそのような展開ですが、実は・・・。
ラストシーンがなかなかいいです。利根は目の前で水に沈む子供を助けようとしたのですが、水が怖くて、結局助けられなかったこと、それで避難所でたまたま見かけた同じ色の服を着ていた女の子を護ろうと考えたと刑事に告白します。刑事は利根が助けようとした男の子が自分の息子と確信、利根に「ありがとう!」と言います。
脇を固めた助演者たちもすばらしいですが、中でも倍賞美津子も見事な演技を見せます。大したものです。間違いなく佳作です。