ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」@Amazon Prime

230120 MOZART IN THE JUNGLE 米 4シーズン、各10話、ただし、1話が30分を切るので見やすい。

ニューヨーク・フィルに新任のマエストロ、ロドリーゴガエル・ガルシーア・ベルナル)が着任したが、彼の型破りの手法に戸惑う団員、前任のトーマス(マルコム・マクダウェル)も心配のあまり、色々アドバイスしたり・・・経営者側と楽団員の争議やら、演奏旅行(ヴェニスや東京)などのシーンも描かれ、クラシック・ファンにはかなり面白い出来栄え。

またゲスト出演者が多彩で、これが楽しい!今や世界的な指揮者になったヴェネズエラのグスターヴォ・ドゥダメルが舞台監督のちょい役で登場したり、ヴェニス編ではあのモニカ・ベルッチさん(58)が3話にわたって登場、なんと裸身までさらす大サービス(しかしあれだけの美貌と肉体美の持ち主も老いには勝てない哀しさ)。

同じヴェニス編には伝説のオペラ歌手に扮するモニカさんの相手役で、なんとサプライズでプラシド・ドミンゴまで登場するという出血大サービス!!参りました。

サン・マルコ広場の特設ステージで歌う伝説の歌姫(モニカ・ベルッチ

シーズン4では、舞台が東京に。加瀬亮を始め、原田美枝子藤谷文子などなど、お馴染みの顔が登場。撮影はどうやら盛夏らしく、撮影中、かなり暑そうに見えて気の毒。特に主人公ヘイリー・ラトリッジ(ローラ・カーク)が指揮する場面など、顔や背中がじっとり汗ばむ様子が。それに水蒸気が見えるほど、それまでの映像とは明らかに違う空気感が楽しめる。

ほかに渋谷、新宿でのロケシーン、2人の主人公が茶湯に招かれる場面など、うまく撮影されていて感心する。ちなみに神社の前での演奏場面は渋谷の金王八幡で撮影されたようです。

この東京編を除くと終盤、かなりだれるシーンが増え、また最終章がなんともあっけなく、ちょっと寂しいというか、もったいない。あるいは、さらに続編が作られるのかも知れません。

主人公を務めたローラ・カークという女優はまったく知りません。最初の方はあまり馴染めなかったのですが、徐々に目が慣れるに従って、結構魅力に満ちた女優と思うようになりました。それにしても撮影前に特訓したと言われるオーボエの演奏、ある程度は吹けるようですが、音源はやはりプロが演奏したらしいです。

メキシカンのガエル・ガルシーア・ベナマル、そもそも出世作であるモーターサイクル・ダイアリー(2004)以来、ずーっと注目していた俳優で、本作の風変わりな天才指揮者を実に軽妙に演じ切っていました。

それと、オーケストラの経営側の代表、グロリアを演じたバーナデット・ピーターズが素晴らしかったのです。74歳とは到底思えないヴァイタリティあふれるコケットぶりには驚嘆するしかないです。

この人、我々日本人にはあまり馴染みがないですが、アメリカでは知らない人がいないほどの女優・歌手です。ゴールデン・グローブ主演女優賞を取っていますが、エミー賞を含め、数えきれないほどのノミネートを受けているというほど。

本作でも2度ほどさらっと歌っていますが、さすがです。東京編では、急に舞台に上がって昔ナンシー・シナトラが歌ってヒットした「にくい貴方」(THESE BOOTS MADE FOR WALKING)を歌っています。

とても楽しめた作品で、終わってちょっぴりロスを味わっています。