ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

フェスタ・サマー・ミューザもフィナーレ

f:id:niba-036:20100816101557j:image:left3週間にわたったフェスタも今日が最終日。因みに昨年は一日遅い16日で、秋山和慶指揮で同じ東響。演目はベートーベンの第5ドボ9という大曲の組み合わせだった。

それに比べて今年は仏ものを並べ、どちらかと言えばやや草食路線か。解説にあったが、クラシックの世界にも印象派と呼ばれる流れがあるそうで、今日の出し物はその印象派の代表、ドビュッシーラベル

指揮は、昨年の長老に対して、若手の飯森範親、またソロにも横山幸雄という、新進気鋭の第一人者をもってくるなど、フレッシュコンビによる、何とはなしに世代交代の印象。

東響の、相変わらず一糸乱れぬ精緻な演奏は変わらない。コンミス大谷康子さんもチャーミングな笑顔を絶やさず、今日も聴衆を和ませている。

牧神の午後への前奏曲」、確かに眠気を催す。そもそもそういう楽曲だから無理からぬ。出だしからして、半音階多用のスリーピーなフルートの音色だし、全体に物憂げな旋律だ。このフルーティスト、結構な腕前で、マエストロも何度も彼を立たせて喝采を浴びさせていたから、今日の出来はまた出色だったのだろう。

ラベルのP協ト長調だが、スタスタと登場するや、横山君がまったく気負うことなく、淡々とさりげなく演奏してくれた。この人、例の盲目の(という枕詞は外して欲しいと母親からのお願いがあったが)辻井伸行君の師匠筋。まだ30代なのに、上野学園大学の教授。将来最も嘱望されるピアニストの一人であることは間違いない。ラヴェルがアメリカ旅行でジャズなどに影響を受けたそうだが、確かに、まるでガーシュインかと思えるようだフレーズが随所に出てくる。

最後の「幻想交響曲」は最も楽しみにしていた。期待に違わぬ凄い演奏で、終演と同時に疲れた。一緒に演奏する気分にさせられるのだろう。4楽章の終演部ではティンパニーを4人で叩いているのを確認。最終楽章の鉦は舞台脇、つまり楽屋での演奏。指揮者によっては表舞台のこともあるが、愚亭としては表で叩いて欲しかった。どんな鉦をどう叩くかの興味もあるし。ま、邪道かも知れぬが。

絵柄的に面白かったのはバストロンボーンから右へチューバが二人並ぶが、彼ら3人とも重量級。ラグビーならロックを任される大男揃い。さすがに女性進出著しいオケもこのあたりになると、進出は当分無理な印象。とにかく管楽器大活躍の曲だから、終演後、フルートを筆頭にトランペットからホルン、チューバに至るまで管楽器演奏者が特に喝采を浴びていた。

アンコールは同じベルリオーズの「ファウストの劫罰」から「ラコッツィ行進曲」。マエストロはマイクなしで曲目の紹介をしたので、舞台裏の席などは完全につんぼ桟敷(放送禁止用語?)で、正面、それも前の方の席でしか聞こえなかった。
「普段よりアクティブに演奏します」と付け加えた通り、テンポ早く、賑やかな演奏で幕。


なんとなく今年もこれで夏が終わった感じだ。
#61