2010/10/30 台風近しの中、銀座2丁目のシャネルホールで開かれた市原 愛さんのソプラノリサイタルへ。ここで彼女を聴くのは2度目。昼下がりの1時半開演だから、当然調子はイマイチ。気の毒である。
前半は本調子でないことは明白。発声も何となく頼りなげ。おまけに拍手もまったく出ない場面があり、これも珍しい。
考えてみれば拍手のタイミングというのは実に難しい。誰かが勇気をもって拍手を始めるとつられてということが多い。勇気がある人がいないと、何となく拍手が出ず、互いに気まずさを感じてしまう。特に「では、2曲続けて歌わせていただきます」というような場合は、1曲目終了後の拍手はしてもしなくてもいいようだし、結局その場の雰囲気、出たとこ勝負ということ。
さすがに後半持ち直して、「ブラーヴァ!」も出始め、いよいよ調子が出て、エリック・サティー辺りからは絶好調。アンコール曲で使われる「私のお父さん」を最後にもってきているので、今回もアンコールなしかと思ったら、「1曲だけよ!」と念押しして歌ってくれたのが「手紙」という日本人作曲の悲しい歌。情感がこもっていて、大変よかった。