ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「いのちの渚」俳優座公演

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俳優座、恥ずかしながら入るのは今日が初めて。アイルランド旅行で知り合ったK夫人のご主人が出演されるというので、他の団員夫妻を誘い合わせて見に行った。

あらすじは、

「私、知りたいんです。あなたがなぜ死んだのか。」
 原子力発電所の補修課課長・梶木浩平が亡くなった。妻・理恵は葬儀の席で思いがけない事実を突き付けられる。夫の死に納得が出来ない理恵と友人・永谷は梶木の死の真相を知ろうとする。

で、まさにタイムリーな上演となった。23年前に福島第2原発で実際に起きた事故を題材にして吉原公一郎が書いた戯曲を一部改稿して今回の上演に到ったもの。演出の落合真奈美さんはまだ三十代というから、大したもの。

舞台は最後まで同じ装置のまま。それでいて、時間軸がひんぱんに入れ替わる演出。だが、音響、照明など、随所に工夫が見られるから、まったく違和感なく時系列の往復に観客がついていける。

正義感溢れる梶木が真実を公表に踏み切るかどうか悩み、それを知った妻もどうしていいか分からない。それを嗅ぎ付けた会社上層部が外部の力を使って梶木を抹殺。そして、スクープにしようとする、葬儀に現れた梶木の親友であるジャーナリスト。巻き込まれる家族、と様々な立場の人間模様が、重いテーマの上に編み目模様で構築される。見事な人間ドラマ。

終演後、ホールで待機すると、いつのまにか出演者がいて、フラッシュが光るわけでなく、関係者、ファンとさりげなくおしゃべりして、淡々と楽屋裏へ引き揚げる。いつも見慣れているオペラ歌手の場合との違いに戸惑い、カメラ持参するも、さすがに撮影する気になれなかった。

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K夫人たちとギネスを飲んだパブ。俳優座ロビーにそのままつながっている。チケットの半券で一割引サービスあり。なんだかとってもオシャレな造りになっている。客席は300人ぐらいかな。