130107 Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の白隠展(➡詳細)のブロガーナイトに参加した。
実はほとんど知識ないまま、出かけた。7時半から一時間以上に亘って、その道のプロたちによるトークショーがあり、これが大変興味深いものだった。
トップで入館したので、まだトーク席には誰もいない。ダイナミックな達磨にずらりと囲まれた一室が用意されていた。これが大変なパワー・スポットであると、後で紹介が。
ただ、今回は椅子でなく、床に座る方式採用で、1時間は年寄りにはチト辛かった。
スカートの女性達もいささか面食らった様子だった。
トークは⬆の3人で楽しく進行。左端、進行役のTAKさんこと中村剛志さん、美術ブロガーの草分け的存在➡「弐代目・青い日記帳」。中央、白隠研究家第一人者、山下裕二さん(明学大教授)、右端、本展の企画をされた廣瀬麻美さん。とにかく詳しいし、説明がお上手。本展開催までの苦労話、裏話をいろいろと。
白隠の自画像(当時としては自画像は比較的珍しいとか)。若干やぶにらみなところに特徴が。
山下教授が一番好きだとおっしゃるスタスタ坊主。何とも愛らしい表情がいい。
これも達磨。白隠は多作で1万点は確実に描き残していて、恐らく生涯に3万作は描いたとされている。教えを広める目的であるから、売ったという記録は皆無。描く端から人にあげていたらしい。
愛媛県大洲市の法華寺所蔵の布袋吹於福。いかにもコミカルな作品。実に全国45カ所から、本展のために貸し出し交渉をされたわけで、その苦労が忍ばれる。他都市への巡回希望が多いらしいが、Bunkamuraでしか展示されないというから、首都圏在住者はラッキーだ。海外からも巡回要望があったらしいが、それも当然断っている。
カラーリングによる解説も斬新。
トークショーが予定時間をオーヴァーしたため、閉館時間の21時まで15分しかなく、焦った。
中央が最高の作品とされる「半身達磨」。グイッと引いた太い線が凄い効果を生んでいる。企画の廣瀬さんは、西洋画も含めて一番好きな作品と言い切るほど。
彼の作画の特徴はうっすら見える下書きより大きく描いてしまうところで、その奔放さが見事。書なども、上から大きく書き始めて、下に行くほど字がつまってしまうという、可愛らしいところが何とも言えない。
白隠の存在は余りに突出していて説明がつかないそうで、例えれば富士山のような存在という山下教授の解説が印象に残った。
廣瀬女史によれば、準備にかけたのは僅かに4日間だそうで、海外の場合は実に一ヶ月かかることもザラというから、日本人がいかに真面目で用意周到かということだろう。
また、今回の展示のためにガラスでなくアクリル板が使用されていて、このサイズだとしなってしまうらしいが、かなり特殊なものを開発されたようだ。いずれにしても、細々したところに、いろんな工夫や、いかにも日本人的な仕掛けが施されていることが紹介された。
それと白隠の作品には国宝はおろか重文すら一点もないそうだ。あればそれらの展示許可がされていない当館での開催は難しかったというから、怪我の功名?尤も近々に重文指定はされるに違いないと、山下教授は自信満々の様子。
因に、愚亭の祖父、仁林聾仙は晩年中国大陸で活躍した水墨画家で、達磨の作品、少なからず。代表作がこれ。