150403
演目としては、好きな部類ではないのだが、出演者と安さにつられて横浜へ。
モーツァルトの五大オペラの一つということになっているが、他のオペラに比べるとそれほど心に響くようなアリアがないような気がしている。とは言え、二重唱には、とびきりのものが少なくない。しかも、今回のように出演者の力量のバランスがよいと、とりわけどの重唱も楽しめた。
今回、「協力」としてチラシに掲載されているルナノバが手がけた本公演は、何度か聞きに行っているので、いずれも馴染みの出演者ばかり。これだけ揃えた本公演で、この入場料は申し訳ないぐらいだ。
もちろんそのために随分苦労の跡が見られる。舞台の道具類も可動式のパネルが数台、ホワイトボードと、電飾、テーブルや椅子など、必要最小限に留めているのは当然だろう。
冒頭、ピアノだけの演奏の合間を使って、ホワイトボードにCOSI FAN TUTTEとだけ書いてあるのを、まずドン・アルフォンソ役の鹿野由之氏がやおら登場して、文字を消した後に自分の役名と本名を書き込み、次にデスピーナという具合に順番に自己紹介するのはなかなか面白い趣向だった。
今井演出は、今回も楽しい舞台を作り上げるのに成功していたと思う。中でもデスピーナにはちょっとやりすぎじゃないと思うほどに、思いっきりふざけさせ、それをソプラノの鷲尾麻衣さんが見事にやってのけていたのは効果的だった。
このシリーズ、「気軽にオペラ!」と銘打っているが、伴奏や舞台装置を別にすれば、中身は結構本格的。こうしたオペラ公演は、これからも是非続けていって欲しいと願わずにはいられない。
今日は南風が吹きまくり、満開の桜にには気の毒。下を流れる呑川に、さっそく花筏が。
#14