150606
好きな作曲家、アントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)なのに、まだこのレクイエム、聴いたことがなかった。ウィキペディアには、以下のように解説されている。
1890年1月から10月にかけて作曲された。この時期はドヴォルザークにとって栄誉に満ちた時期であった。前年の1889年にはチェコ人としては異例なことに鉄王冠章をオーストリア皇帝から与えられ、1890年になるとチェコの科学芸術アカデミー会員に列せられ、カレル大学の名誉哲学博士の学位を贈られてもいる。プラハ音楽院の教授に就任したのも、この作品完成直後のことであった。イギリスのバーミンガム音楽祭のための新作依頼に応えて作曲されたもので、素朴で抒情的な美しい旋律にあふれたレクイエムであり、ブルグハウザーは「ドヴォルザークの全作品中最も哲学的な作品」と評している。第1曲の冒頭のF - Ges - Eの音程進行は、ドヴォルザークが深く敬愛したバッハのロ短調ミサの第3曲の冒頭(Fis - G - Eis)の引用である。1891年10月9日、バーミンガム音楽祭において作曲者自身の指揮によって初演された。
ヴェルディのレクイエムを超える90分近い演奏時間。合唱団はその間、ほとんど立ちっぱなしで、かなりのハードワーク。舞台上を数えると男性24名、女性はその倍の48名。合わせて72名が舞台に乗っているわけだが、高齢者が散見され、特に男性陣に集中していた。
楽譜を見ながらとは言え、これだけ長い曲をラテン語で歌うというのは、特に高齢者には超ハードだったに違いない。ここに至るまでのリハがどれだけ大変だったか。まずそこに喝采を贈りたい。
この演奏会は、そもそもM響(変わった名前で、オケと勘違いしそうだが)なる合唱団が主役である。プログラムにも冒頭に混声合唱団「M響」第4回演奏会と記されていることでも明白だ。表紙をめくると裏に、この合唱団の代表者のご挨拶がある。
さて、演奏である。ソリスト陣も巧者ばかり。青栁素晴さんはコメント不要。バスの狩野賢一さん、タッパもあり、低音の響きはハンパでない。ソプラノ(藤井玲南さん)、アルト(二瓶純子さん)共に、まったく申し分のない演奏であった。
オケは現役学生と卒業生で構成されていたと思うが、女性が大活躍。弦では、コンバスの2名を除けば、全員女性。管も、主要なパートに多く女性を配していて、とりわけホルンの演奏は見事だった。またバス・クラリネット(これは男性奏者だったが)の活躍も見逃せない。
ドボルザークらしいメロディーをある程度は期待していたのだが、中盤(30分辺り)のRICORDAREや終盤60分前後のOFFERTORIUMにそれが感じられた。堂々たる荘厳さの中にも彼らしい明るさが随所に感じられる曲想には納得。
ところで、神奈川県立音楽堂は、久しぶりに来たが、なかなか立派なホールである。客席は1100強だから、堂々たるサイズ。近隣環境も悪くない。以前に比べ随分整備された印象を受けた。桜木町から徒歩10分で、しかも最後に急な坂(紅葉坂)があるから、年寄りにはチトしんどいが、タクシーに乗るほどではない。
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