190630
初めて生でというわけではないが、随分長いこと聞いていないミサ曲で、今回はじっくりと堪能。この作品の素晴らしさをたっぷりと味わい尽くした感じがする。
ベートーベンは若い頃にハ長調のミサ曲を作曲していて、ソレムニスの方は晩年、亡くなる4年ほど前の作品。まさに魂が乗り移ったかの如き荘厳さに満ちている。そして、この後に完成するのが第九である。こうしたことも念頭に置いて聴くと、また特別な感慨に浸ることができる。
この楽団、合唱団の演奏を聴くのは初めて。オケも合唱も若い力が漲り、じつに清々しい演奏で、感銘を受ける。(普段、高齢者ばかりの合唱団で歌っているせいだろう、きっと)
高原亜希子の透明感たっぷりの美声が場内を潤していたのが特に印象に残る。こうした宗教曲向きの発声のような気がする。
彼女とは昨年末、「労音第九」で同じ舞台に乗り、その際、昔の職場の後輩の娘と知って、さっそく挨拶をしておいたが、その時は合唱席からしか聞けなかったので、まともに聴けたのは今回が初めて。
独奏バイオリンがあれだけ長く演奏するというのは、予想外!見事な弾きっぷりだった。この種の曲で、独奏バイオリンと歌唱が延々と絡むのは比較的珍しいと思った。
開演前に舞台を見ていたら、このエレクトーンが気になった。ヤマハのステージア2というモデルらしい。そういえば、昨年のオペラ椿姫の際はオケでなく、このタイプを2台とパーカッションだけで演奏したから、その威力は十分知っているが、この種の宗教音楽では、パイプオルガンがなければ、エレクトーンではなく、ポルタティーフ・オルガンを使うのかと思ったが・・・。特に違和感はなかったから、これで十分なのだろう。アプリコ大ホールはよくできたホールなのだが、パイプオルガンがないのが、痛恨!
#39 文中敬称略