ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「コウモリ」@川崎市民館

170903

f:id:grappatei:20170904140352j:plain

旧知の歌手が何人か出演するので、合唱練習の後、登戸へ駆けつけた。初めて行くホールなので、途中、道を間違えたりしながら、それでも開場時間ジャストに到着。前から4列目に陣取った。オケ・スペース確保で前列4列ほど潰しているから、実際には8列目ぐらいの感じ。

グランドオペラは、真ん中より少し後ろぐらいが聴きやすいのだが、オペレッタは、聴覚より視覚要素優先で、ここらがちょうど良い。結構、緞帳の手前で演技したりするし、普通の声でのやり取りはこの辺でないと聞こえづらいのだ。

f:id:grappatei:20170904140917j:plain

f:id:grappatei:20170904140933j:plain

こうした市民や区民オペラというのは、内容の割に入場料が安いのが嬉しい。今回の公演も@¥4,000で、アマチュアとは言え、本格的な管弦楽団と合唱団が長く激しい練習を積んでの参加だから、見応え、聴きごたえ、たっぷりであった。

ロザリンデの宍戸美法、初めて聞かせていただいた。ふくよかな体型から紡がれる美声がよく響いた。ロザリンデは適役だろう。

アデーレの二見麻衣子、ほぼ一年ぶりに見せてもらった。いやぁ、確実に進化の跡が窺われて、嬉しかった。今日は出番が多く、また歌唱の方も、いくつものアリアを聞かせてもらい、十分納得、満足でした。

アイゼンシュタインはベテランの羽山晃生、最近、テノールからバリトンに転向したと聞いていたが、この役はテノール、またはバリトンとなっていて、まさにうってつけの配役。演出が要求したのだろうが、徹底的にコミカルさを前面に出していて、なるほどこうした三枚目も、実はこの人、得意なのだと合点が行った次第。

ファルケの小林 勉も初めて聞いた一人。前出の羽山に師事したと解説に出ている。師を凌いだかどうかは分からねど、なかなか善戦していた。歌唱も演技もどちらもまったく遜色なし。

フランクの吉原裕作、なんとも滑稽で、終始笑ってしまった。よく通るバリトンで、滑舌もいいし、もちろん歌唱も素晴らしいが、何より自然な演技が散々笑わせる。ひょっとして、これは地かも知れない。周囲のおばちゃん連中も彼が登場するだけで笑っていた。

最後にオルロフスキーの藤長静佳、ひと月前にもかつしかシンフォニーヒルズでのマダム・バタフライのケイト役で聞かせてもらったばかりだが、オルロフスキーはまさにはまり役だろう。上背があり、お顔も宝塚の男役も青くなるほどの器量ゆえ、これ以上のオルロフスキーは望めないほど。堂々たる演唱、しびれました。

オケは、一見して20代と思しき面々で、音大でなく、いろんな一般大学のオケからの寄せ集めと一部社会人が含まれたオケで、ハードな練習の賜だろう、よく鳴っていたと思う。

合唱団はさすがに年配者が多く混じっていたが、かなり細かい演技も含まれていて、よくぞここまでと同年輩の一人として感心しきりであった。

f:id:grappatei:20170904143925j:plain

手前のハープで視界がわずかに欠けたのが残念。

f:id:grappatei:20170904143940j:plain

ご覧のように若々しいオケメンバーたち。

f:id:grappatei:20170904144040j:plain

あでやかなアデーレの二見麻衣子

f:id:grappatei:20170904144107j:plain

衣装もヘアスタイルもビシッと決まっているオルロフスキーの藤長静佳

f:id:grappatei:20170904144144j:plain

アイゼンシュタインの羽山晃生とのツーショット。ご覧のように、中ヒールでも、長身と言われる羽山を超える上背だもの、そりゃケイトよりオルロフスキーでしょう。

#55 文中敬称略