180716
ここのコレクションの全貌は➡︎静嘉堂文庫ホームページで
本展のタイトル通り、今回は明治の逸品ぞろいの展示。
コレクション全体のほんの一部だが、それが思わずため息の出そうなものばかりという、日本の絵画・彫刻・工芸品ファンにはまさに垂涎の展覧会である。昨日から約7週間という会期で、前期・後期で一部展示が入れ替わるから注意する必要あり。
今回、ブロガー対象の内覧会に応募していたところ、運良く当選したので、以下の内容でトークショーが聞けたり、一点撮りの撮影が出来たり(一部作品を除く)、まことに嬉しい企画である。
二子玉川駅からミニバスで美術館前まで、普段は10分もかからないところを何と35分!3連休の最終日ゆえの渋滞で、どうにもならない。トークショーには大幅に遅れた。貴重なトークの多くを聞き逃した。
バス停からのアプローチは上のような具合。両側、鬱蒼とした林をだらだらと10分ほど上がっていく。どこか、外国でも似たような経験したなぁと思いつつ、汗を拭き吹きやっと辿り着いた。館内は冷房が効きすぎていて、羽織るもの、何かもってくればよかったと後悔。
中央は当館の河野元昭館長、右は長谷川祥子主任学芸員、左は「青い日記帳」でお馴染み、ナビゲーターのTak氏。トークショー終了後、記念撮影。その後、一般客が帰った後、ギャラリートークに移行。約1時間、長谷川学芸員からほぼ全作品について、詳細な解説をしていただく。その合間に撮影もしないといけないから、一言も聞き漏らしたくないし、撮影もしないといけないし、というわけで、結構これが慌ただしい。
一番上の栞の表紙にも橋本雅邦の龍虎図屏風。あまりにも雄大で、写真には収まらない。裏事情や、作者に親しみのわくような裏話もいろいろしてくだるから、こうしてメモをしっかり取る人も。
あの時代に中国の故事などを題材にして、こういう生々しい画風で聞こえた画家がいたこと自体、驚きを禁じ得ない。
手前に描かれている武士たちの甲冑などの細かい筆さばきと色彩に目を奪われる。逆に景色はぼやーっと水墨画か水彩画のようなタッチで描かれている。
省線七宝は浪川で、有線七宝(色の境を成す枠を残す手法)はおなじナミカワでも並河で、名は靖之。先日、この有線七宝の技法をNHKの美術番組で放映されたばかり。
ガラスのショーケースの反射でどうやってもうまく撮れない。
漆工芸の天才、柴田是眞の作品は一度、根津美術館で見たことがあり、絶句するほどの見事さだったが、ここで再会するとは、嬉しい限り。こういう細やかな力作はやはり本物を見ないとどうにもならない。
河鍋暁斎も天才の名をほしいままにした一人。下は「地獄・極楽めぐり図」。依頼主は日本橋大伝馬町で小間物問屋を営んでいた勝田五兵衛。亡くなった娘、田鶴(たつ)の供養のために描かせたもの。全部で40図もあるそうだが、そのうち35図を以下のように4回に分けて展示される。
・7/16(月・祝)-7/26(木)・田鶴の臨終と来迎、羅人宮、三途の川の渡し舟に乗る等 ・7/27(金)-8/9(木)・賽の河原、旅館はりやま到着、 田鶴の身支度等 ・8/10(金)-8/23(木)・家族との再会、芝居小屋、 盛り場等 ・8/24(金)-9/2(日)・地獄見物、閻魔大王、 極楽行きの汽車、極楽往生等
これを収めるための内箱を、河鍋暁斎と不仲と言われていた柴田是眞が作っているのが興味ふかい。(参考出品)
裏には、依頼主、勝田五兵衛の亡き娘、田鶴(14歳)の横顔。
右側に是眞の銘が見える。
かなりブレているが、この山本芳翠がいなければ、後の洋画家、黒田清輝は誕生していなかったと考えると、二人は相当興味深い関係にある。黒田の作品「裸体婦人像」と対峙するように展示されている。
入口付近に展示されているのが、その作品。黒田と言えば腰巻展示事件として有名な『朝妝』(ちょうしょう)があるが、惜しくも消失している。
2点とも入口付近に展示されている。これらの作品の真の凄さを知るには、やはり現物を見る他にない。ガラス越しの写真では万分の一の再現すら不能。それほどの超絶技法!
南側は緑の斜面を見下ろすような立地。
森の小道を抜けると、パッと視界が開けて、静嘉堂文庫の建物が目の前に。
人生も終盤になって初めて来ることになった。世田谷には小学校5年生から20年近く住んでいながら、一度も来ることがなかったのが不思議だ。我が大田区に次ぐ面積を持つ世田谷区でも、最深部とも言える立地ゆえ、重い腰が上がらなかった。(言い訳)
それがこの度、内覧会のお陰で来ることができたのは、まことに幸運であった。主催者には感謝しかない。
展示物の撮影については、主催者側から特別な許可を得ています。
本展の会期は7/16~9/2。午前10時から午後5時。月曜休館。入館料は一般が@¥1,000。途中で展示物の一部が入れ替わるので、「明治からの贈り物」を真から味わうには2回は来る必要がある。