ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「喜望峰の風に乗せて」

190126 原題:THE MERCY (慈悲、救い)英 101分 監督:ジェームス・マーシュ(「博士と彼女のセオリー」2014)

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邦題とこの絵柄に惹かれて観に行った人、結構いたはず。

実話に基づいた作品というが、この話はまったく知らなかった。当時(1968)、それなりに話題になったらしいが・・・。

海洋ものが特に好きというわけではないが、コリン・ファースレイチェル・ワイズ主演というのにむしろ興味があって観に行ったのだが・・・まあ、残念ながら駄作かな。

ストーリーにもう少し起伏を持たせて欲しかった。あまりに淡々とし過ぎて盛り上がりに欠け、家族の話題にばかり目がいく展開はかなり期待はずれ。もしかしたら、かなり低予算だったのかも。

それでも、二人の演技には満足。デビッド・シューリスの、どちらかと言うと怪演に近い演技も見もの。

コリン・ファースは現在58歳、ロンドン芸大で演技を学んだという本格派。対するレイチェル・ワイズは47歳、ロンドン出身、ケンブリッジ大出という才媛で、亭主はダニエル・クレイグ

原題は意味深長で、でっち上げの航海日誌の中に出てくる単語を映画の字幕では「救い」と訳出していたが、確かにmercy単独には慈悲とか恩恵とか出ているので、もちろん誤訳ではない。しかし、at the mercy of~となると、「〜の意のままに、〜に翻弄されて」という意味合いがあり、書いた本人にはもう少し深い意味でこの言葉を使ったような気がする。

そもそもずぶの素人がヨットで世界一周などという途方もない冒険に乗り出すなど、無謀にもほどがあるし、止められなかっただけでなく、却って煽った周囲の責任、極めて重大!今の日本なら自己責任論で喧しくなるような話だ。

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#3 画像はALLCINEMA on lineおよびIMDbから