ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「パリ、嘘つきな恋」

190529 TOUT LE MONDE DEBOUT (みんな、立って)仏 107分 原案・脚本・監督・主演:フランク・デュボスク (Franck Dubosc, この綴りだと、フランドル系かも。本作の中ではイタリア系という設定。要するにチャラ男)

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ご覧の通り、デュボスク(51)はなかなかのイケメンぶり。

このジョスランという男、経済的にも社会的にも恵まれた境遇にあり、どちらかと言えば女嫌いで通っているが・・・女に不自由したことはない。

ある日、実母を亡くし、双子の弟から母親が住んでいた住居を検分するように言われて、彼女の使っていた車椅子に座っているところへ、隣に越してきた女性、ジュリーが現れ、咄嗟に障害者のふりをする。のちのち、えらい騒ぎに発展するとも知らず・・・。

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週末、ジュリーが誘ってくれた実家へ行くことになり、そこに現れたのはジュリーの姉

この姉、フロランス(アレクサンドラ・ラミーキャメロン・ディアス似でいかにも活発な女性をうまく演じている)、車椅子生活ながら、ヴァイオリニストであり、テニスもするという活動派。うろたえるジョスラン、だが、今更立ち上がることもできず、ずるずると。

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ジョスランの自宅での夕食に招待されるフロランス

まさかのシーンが、これ

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リモコン操作で、瞬時にプールになる仕掛け

早くカミングアウトしろという周囲の助言にも耳を貸さず、深みにはまるばかりのジョスラン。その後、障害者に奇跡が起こるとされるルルドへ皆で旅行することに、ここでこのドラマは意外な結末を迎えるのだが、まあまあうまく作ってあるし、コミカルな展開で相当笑える。

しかし、障害者が登場する話だから、よほど慎重に扱う必要があるし、日本ではこの種の作品は絶対に無理だろう。そこはフランス、うまくこの微妙さを消化して巧みに喜劇に転じてしまう。この辺りはフランス文化というか、彼らの精神構造の妙とでも言おうか。他にも人種問題も隠し味のように織り込まれている。

この人、フランスでは人気コメディアンらしいが、なかなかの曲者だ。

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フロランスがヴァイオリンを弾くシーン。ラミーは、当初、ぎこちないのだが、曲が変わると一転、見事な指さばきに驚く。

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パリ・マラソンのシーン、走りながら、出来栄えをチェックするデュボスク。

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ジョスラン社長の秘書役で登場するエルザ・ジルベスタイン、「カストラート」('94)以来、彼女の出ている作品はほとんど見ているが、ちょっと太ったかな。現在49歳だが、まだまだ魅力たっぷり。

ジョスランの父親役で現在83歳の名優、クロード・ブラッスールが登場、ちょい役とはいやはやすごい演技で、笑った、笑った。ちなみに、クロードは、「天井桟敷の人々」、「リラの門」のピエール・ブラッスールの息子。

#34 画像はIMDbから