ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ヴォツェック」METライビビューイング

200305

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ついに見ることになった本作、実に驚きの舞台だった。ある程度の情報は事前にしっかり仕込んで行ったのだが、まさかこれほどとは!中でも驚くのは演出と装置!一言でカオス、混沌と荒廃に塗りつぶされた舞台と言っていい。細かい作り込みの装置と、高い映像技術が作り上げる、一種あり得ない世界。

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日本ではあまり知られてないかもしれないが、欧米では名うての実力派名歌手たち、合唱、ヤニック・ネゼ=セガン率いるオケの揃い踏みで、こんな奇跡のような舞台が生まれたのだろう。正直たまげた。これは表現不能で、この凄さは見てもらうしかない。ただ、音楽性については、やはり難解であり、正直、愚亭にもよく解らない。

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正直、ベルクの作品を見ることは、多分ないだろうと思っていたが、たまたま比較的近い映画館で上映されるという、まあ一種の僥倖で見ることになった次第。

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コロナが依然猛威を振るっている最中だし、どちらかと言えばマイナーなオペラ作品ゆえ、果たせるかな、館内はガラガラ。もったいないと思うが、これはどうしようもない。

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このシリーズでは最短の2時間弱で終演、いつもはランチ持ち込みで臨むのだが、休憩もないし、いつもの幕間インタビューも終演後という、初の事態。インタビュアー(次回作「ポーギーとベス」で主役を演じるエリック・オーウェン)の、そのことに触れていた。

インタビューで主演者が語っていた中で、超難しい演唱を暗譜するには、ひたすら練習を繰り返すしかなく、それでも他のオペラでは、マエストロを視線の端でチラ見でいいが、この作品ではほとんど必死でマエストロを見るしかなかったというのが印象的。

さらに、目の前には蜘蛛の巣を張り巡らされているような感じで、それも二重にも三重にもなっていて、その一つ一つがキラキラと点滅するような、そんな感じで演じていたそうだ。いかにものすごい動きを要求されていたかが、多少なりとも分かるような気がする。

以前、新国立で上演されたプロダクションも、舞台に水を張った、すこぶる斬新な舞台でしばし話題になったいたようだが、METは、METとしての本領を発揮、存分に誇らしい公演となったことは間違いない。内容についての詳細→METライビビューイング

#9 画像はMETライビビューイング HPから。