220130 にわかに新規感染者が激増して、公演を危ぶんでましたが・・・。午前中の合唱練習のあと、初台まで出かけてきました。最近、チケットの手渡し回避が目的の一つでもあるのでしょうが、スマホに事前に送られてきているQRコードを入口でスタッフに提示すればそれだけで入場できるのは、相互に大いにメリットあると思うので、今後、ぜひこの方式を普及させてほしいと思いました。(見ているとわざわざプリントしている人も少なくなかったようですが、一手間余計だと他人事ながら思って見てました)
かなり舞台に近いので、4幕幕切寸前、二人が死に絶えるところは、顔の表情までしっかり観察できる位置でした。
昨年10月に今回の開催が決まったと同時にチケット予約をしました。その際、その頃は聴衆も舞台上の出演者もマスクなしで見られますよね?と返信した覚えがありました。残念ながら、それどころか、第6波のピークに近い感染拡大具合です。というわけで、開演前にマエストロが舞台からご挨拶がてら、共演者同士、2mの間隔を空けることに徹するとして、反響板や背景など全部とっぱらって躯体の奥の壁までを舞台空間とすると説明。いったいどうなるのやらと興味津々で開幕。
何やら暗い奥の方から人物らしき集団がすこしずつ前に移動してきて、だいぶしてから、バレリーナの集団と分かりました。それぐらいの距離を感じました。こりゃ、大変なことになったわいと、期待と不安の入り混じった感覚に囚われました。それにしても、中劇場とは言え、舞台裏の深さには圧倒されました。ま、確かにオペラをやるようなホールの舞台って、外国の事例を出すまでもなく、客席と同じぐらいの深さがありますからねぇ。でも、そのまま舞台にして上演したことは、まずなかったんじゃないかと。
奥行きも高さも半端ない空間ですから、バレリーナはまだいいとして、歌手は大変です。マエストロの振る棒が見えなかったり、なにより自分の声が客席にちゃんと届いてくれるか不安を感じたはずです。確かに、いつもはもっと響くはずなのになあ、という感じはしましたが、それほどの違和感はなかったです。
30日の組はほとんど知っている歌い手さんばかりでした。タイトル・ロールの青栁さん、苦悩するオテロ(シェイクスピアではOthelloなので、オセローと。またオペラではOtelloなので、本来はオテッロとはねてほしいところですが、まあ日本でいい習わしている方で)を上手に演じていました。特に顔の表情には相当こだわって演じていたと思いました。いい味、出していました。
マエストロの解説で、自分は弁護士でもあるので、と前置きしてイアーゴは本当に悪人なのかということを分析しているのを興味深く聞きました。確かに、彼は周囲をそそのかし、たぶらかしたかも知れませんが、直接手を下してはいませんから、なんら罪には問えないということでしょうか。騙される方が悪いわけで、中でもオテロは、ほんとバカとしか言いようがないでしょうね。愛する妻よりよこしまな心を持つ部下の方を信じるわけですから。それだけイアーゴのたらし込み方が卓抜していたということではありますが。
イアーゴの岡さん、一番の聞かせどころ第2幕の「イアーゴの信条」は、もうちょっと前で歌ってくれればなあと。オテロとイアーゴの有名な復讐の二重唱もそうでしたが。大空間に吸い込まれていったようで、もったいないことでした。
デズデーモナの鈴木麻里子さん、元来、声が大きいこともあるのですが、大空間をものともせず、一番響いていたように感じました。ソプラノということもまりましょうが。今回”大深度”奥行き「被害」を最小限にとどめることに成功したようです。
終演後の撮影はご自由に、とマエストロの冒頭の挨拶にありましたので、遠慮なく。