ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ミュンヘン:戦火燃ゆる前に」@Netflix

220127 MUNICH: THE EDGE OF WAR (戦争の崖っぷち)2021 英米合作、131分、監督:クリスチャン・シュヴォホー、主演:ジョージ・マッケイ、ヤニス・ニーヴォーナー、ジェレミー・アイアンズ

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ネットフリックスがこの種の普通に劇場公開されるような作品をどんどん作るようになっていることは大いに歓迎したいです。やたら長いドラマに疲れたら、この種の作品がありがたいです。

つい先日も「ミュンヘンへの夜行列車」を見たばかりです。それは1940年製作のキャロル・リード監督作品で、既に大戦開始後というタイミングです。英独のスパイ合戦のようなスリリングな内容でした。

他方、こちらはほぼ史実にのっとった内容になっていますが、主役の若者二人については、フィクションだそうです。ただし、モデルになった人物はいたようです。この二人を演じるのは偶然どちらも現在30歳の英独の人気俳優です。

英国側のヒュー・レガットゥを演じるジョージ・マッケイは、3年前に第1次大戦を扱った「1917 命をかけた伝令」に出ています。本作でも伝令役を兼ねていて、単なる偶然なのか奇妙な一致点です。で、一方、ドイツ側のカウンターパート、パウル・フォン・ハルトゥマンを演じるヤニス・ニーヴォーナー、愚亭は初めて見る役者です。まずまず好演していますが、ややキャラクターが弱いので、印象が薄くて残念です。

のちに天下の愚策とされる対独宥和策のネヴィル・チェンバレン首相が、ヒトラーとの賭けに出るミュンヘン会談の舞台裏での二人の青年の姿を軸に描いています。たまたまこの二人、オックスフォード大学でのクラスメートということで、レガットゥは現在首相秘書官であり、一方のハルトゥマンは元はヒトラーに心酔していたのに、今は彼を超危険人物と見なして、仲間とナチスに反旗を翻す側にいる人物。

この二人が密かにミュンヘン会談をなんとか不成功に導こうと裏で画策しますが・・・。ま、ことはそんなにうまくいく訳、ないですよねぇ。その結果、英独仏伊で協定が結ばれ、ドイツはズデーテン地方チェコスロヴァキア西部で、ドイツ人住民が多数居住する地域)をまんまと手中に。それ以外、領土的野心は持たないとする約束でしたが、1年後、1939年9月3日、英仏が独伊に宣戦布告、第二次世界大戦が。

結局のところ、ミュンヘン協定で開戦まで1年の猶予が双方に生まれたということですが、これをどう見るかで、チェンバレンの評価は大きく分かれるわけです。後知恵で愚策とされても、当時としては、これがベストの選択肢とする歴史家もいるほどで、現に、この”成果”を持ち帰ってミュンヘンからロンドンに帰還したチェンバレンは歓呼の声で迎えられています。

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チェンバレン役のジェレミー・アイアンズ、さすがの貫禄の演技だし、なんだか雰囲気がよく似ています。後ろに控え、浮かぬ顔の人物がヒュー・レガットゥ。ま、仕方ないですよ、元々無理な計画なんだから。

蛇足ですが、彼の妻役にはあら懐かしや「ダントン・アビークローリー伯爵家の次女シビルを演じたジェシカ・ブラウン・フィンドレー。ま、ちょい役ですがね。