201122 GOOD KILL 米 2015 102分 脚本・監督:アンドリュー・ニコル
今では広く知られたことだが、こうした無人機による爆撃が普通に行われていることに改めて戦慄を覚える。当然、巻き添えで一般市民、とりわけ子供が犠牲になることも避けがたく、遠く離れたところにある作戦司令室で引き金を引く人間が正気でいられるのは難しい。
主人公のイーガン少佐(イーサン・ホーク)もそんな1人。車で20分ぐらいのところにある、そこそこ立派な軍用宿舎に家族と共に生活できているし、ほんのわずかな距離に不夜城ラスベガスがあるという、かなり恵まれた環境にある。
しかし、元々は空軍飛行士である彼には、飛ぶことこそが自分に与えられたミッションと信じて疑わないから、今の境遇は、周りから羨まれようと耐えがたい。しかも、毎日のように無人機からの空爆で人の命を奪い続けるのだ。それが米国の敵、アルカイダであろうと。
自問自答を繰り返す日々、愛する妻も答を用意できない。ある日、どうしても引き金を引けない彼は、手元の機器の故障と偽って攻撃の機会を逃す。見ていた上官にはバレバレで、当然の処分が下り、ふんぎりをつけるきっかけにする。果たして、彼の望む日常は戻るのだろうか。
原題のGOOD KILLとは任務完遂と意味するコールサイン。なんともはや・・・。
それにしても、朝から、あるいは運転しながら、スミルノフ(ウォッカ)のボトルをラッパ飲みするのには呆れてしまう。イーサン・ホークの冷めた演技が光る。撮影はモロッコの砂漠とニュー・メキシコ、そしてラスベガス。