210102 FLORENCE FOSTER JENKINS(本人のフルネーム)2016 英 111分 監督:スティーブン・フリアーズ(1941年、英、「ヴィクトリア女王 最期の秘密」2017)
実話をベースにした作品。本作公開の前年、同じ素材を基に仏映画「偉大なるマルグリット」が公開されている。メイン・フレームは共通するが、内容的にはかなり異なる。多分、英国製の本作の方が実話に忠実に作られているようだ。
この主人公、幼い頃から音楽教育を受けてピアノも弾けたというから、それなりの音感はあったはずで、事実、コンサートピアニストとしてカーネギーホールでピアノを弾くのが夢だった。が、事故によりピアノを諦め歌に転じてみたが、これはそれほど上達もせず、極めて凡庸で、音を外すことも頻繁だったそうだ。
それが最後にはカーネギーホールで独唱会を開くことになったのは、彼女を支えた夫(ヒュー・グラント)の力と、彼女自身が天真爛漫で人を楽しませることに長けた才能に溢れていたようだ。それに、彼女の自分の才能に対する勘違いも。
映画の中での演奏シーンはすべてメリル・ストリープ自身がセットで歌い、ピアノも伴奏者を演じたサイモン・ヘルバーグが自分で弾いたそうだ。
この伴奏ピアニストだったコズメ・マクムーンという人物も変わり者。本格的なピアニストを目指しており、へたくそなソプラノの伴奏など誰が・・・という態度であったが、彼女の夫から破格の謝礼があり、また才能がなくても、彼女の人格に次第に魅了された結果、引き受け、結果的に自身もカーネギー出演を果たしたことに強い満足感を得られた由。しかし、その後、ピアノへの情熱を失い、ボディビルダーへと転身したというから、いやはや。
フローレンスが梅毒で亡くなると、以前からつきあっていたキャスリーン(レベッカ・ファーガソン)と結婚したとか。変わり身の速さには恐れ入る。尤も、この恋愛はフローレンス公認だったというから、全員が変わり者だったということか。