ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

音楽劇「ヒッチハイクvol.2」@生配信

210224 昨夏Vol.1が配信されており、デジタルイベントの配信を手がけるヴェンチャーIT企業ZAIKOが今回も担当。前回に比べ、カメラアングルなども含めたシャープな映像、途切れない音響、洗練された字幕の出し方などなど、格段に進歩の跡が見られた。

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⬆︎にあるように、会場に客を入れ、配信も同時に行う、いわゆるハイブリッド演奏会というスタイルである点も前回とは異なる。舞台が広くなったこともあり、テーマこそ主人公スバル(青栁素晴)が運転する車に、ヒッチハイカーが乗り込んでくるというスタイルは踏襲しているが、進行は前回とは異なる。

乗車、走行シーンは、実際の舞台上では上手に置かれた椅子に座るだけで、映像上、運転席らしく映している。⬇︎(前回は確か実際ハンドルを握っていたようだったが)

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ということで、歌うのはすべて中央の広々とした空間で。(前回はかなり狭隘なスペースでの演奏を余儀なくされていた)この辺の処理の仕方はハイブリッド演奏会であることを十分配慮した結果であろう。

途中休憩なしの正味70分、14曲、本格オペラ1、オペレッタ1、外国の歌4、日本の歌8という配分。タイトルロールのスバルだけがソロ3曲(高原列車、さびしいカシの木、また逢う日まで)で、他は2曲ずつという配分も納得。「翼をください」は全員。

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貴重(?)な唯一の本格オペラからの詠唱「悪魔め、鬼め」はいかにも馬力の出そうなヒロユキ。

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これまた唯一のオペレッタ「ジュディッタ」から「熱きくちづけ」をカスタネットを鳴らしながら熱唱するツグミ

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地元警部サヤカが歌う「ウォンテッド」

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大柄なヒロユキの”鬼嫁”として登場する若手代表、トモコ。

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原曲はPeppino Gagliardiが歌うChe vuole questa musica stasera(ヒロシのテーマ)をヨシヒトが朗々とオペラチックに歌い上げる。朴訥な台詞回しは相変わらず冴えていた。

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翼をください」は全員で

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飲み屋風にして「かんぱ〜〜い!!」

企画・構成・台本を青栁が今回も担当して、楽しい舞台に仕上げている。歌で盛り上げるだけでなく、いかに観客・視聴者を楽しませるかに腐心したであろう。前回以上に笑わせてもらえたのは、そうした芸達者を集結できたキャスティングの妙。中でも江口の演技は、すぐにでも喜劇役者として通るほどの実力。若い頃に将来はお笑いの世界へというのも選択肢の一つだったというだけのことはある。

それから70分、ぶっ通しでいろんなジャンルの曲を弾き切ったピアニスト、大町綾乃は乾杯の時もピアノと向き合ったままで、最後まで裏方に徹していた姿が印象に残る。

(文中敬称略)

画像は配信映像からお借りし、スクリーンショットしたものです。