211002 自分が舞台に乗った8/29以来のアプリコ大ホールで、今日はメンデルスゾーンとモーツァルトに浸りました。
35,40、41番とモーツァルト晩年の三つの交響曲、どれも素晴らしいですが、中でも41番ジュピターはかなり幼少の頃から好きな演目でした。40番も親しみやすいメロディーがいきなり出てきますが、ハフナーとかジュピターのような愛称がついていないのがもったいないと感じます。気の利いた愛称がついていれば、もっと親しまれたでしょうか。
一方、メンデルスゾーンのV協ほど人気のあるV協も珍しいでしょう。ベートーベン、チャイコフスキーのそれと並んで最も世界中で演奏されるV協と思います。我が家にも初期のLPとしてチャイコフスキーのV協と裏表でひんぱんに聞いていました。作品番号が64と35というのを覚えていたほどですから。ちなみにV奏者はジーノ・フランチェスカッティでした。
演奏した辻 彩奈さん、うちの父祖の地である岐阜のご出身というだけで、親しみを感じました。音色がダイナミックで美しく、弾きっぷりも奔放ですぐに好きになりました。険しい表情から入りましたが、終盤、一気になごみの表情に変化、スマイルが時折。そして、なんかの拍子に口がポカっと開くのがご愛嬌でした。
鳴り止まぬ拍手に応えて、アンコールとしてバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ3番からガヴォットを弾いたのですが、これがしっとりと心に沁みる名演奏で、いいものを聞かせてもらえました。
大友直人さんはなんども聞いていますが、指揮台なしで、指揮棒ももたず、両手の平を巧みにしならせる指揮ぶりでした。カラヤンのように目を瞑るわけではないですが、かなりヴィジュアルを意識しているような印象を受けました。細身で、銀髪がきれいに伸びて、日本人としてはかなり舞台映えのするマエストロです。オケとの相性もばっちりでした。
この人で思い出すのは、例の詐欺事件を起こした佐村河内 守(さむらごうち まもる)の交響曲「広島」をミューザ川崎で演奏して、終演後、会場に来ていた佐村河内を舞台に上げて、ハグする場面も。あとで真相を知ってさぞ鼻白んだことでしょう。相当イヤな事件で、ご本人は思い出したくもないことでしょう。
客の入りは8割ほど、前から7列目の中央でしたが、かなり密でした。オケのメンバーでも、マスク姿が散見されましたが、ひと頃に比べればずいぶん少ない方でした。