220121 IN A LONELY PLACE 米 1950 (なぜか日本公開は1996年!?)監督:ニコラス・レイ 脚本はアンドリュー・ソルトが担当したのですが、撮影と並行して監督がほとんど書き換えてしまったので、出来上がってみたら、原作とはかけ離れたものとなったそうです。脚本家としてはメンツ丸潰れですね。
ハンフリー・ボガートという俳優は、本作では悪役ですが、もちろんいい役も、また滑稽な役もこなすし、やはりかなりの演技派役者ということがよく分かります。あまり上背もなく、その割に顔がやたら大きく、昔の日本の時代劇俳優に通じるところがあります。
主人公、ディクソンは斯界ではけっこう聞こえた脚本家で名声も富もそこそこ手に入れているのに、なぜか性格が荒んでいると言うか、怒りっぽく喧嘩っ早いんです。それでも、今の地位までのし上がれたのは運もあったし、仲間にも恵まれたのだろうと想像されます。
仲間内でよく行くバーで、今日もつまらぬことで言い合いから殴り合いに。帰り際にクロークの娘に声をかけ、貸してあった本、もう読んだか?と声をかけます。なら、粗筋、聞かせてもらおうと強引に自宅に誘います。ついてくる女もどうかと思うのですが・・・。
この娘、彼の家を出た後、死体で見つかります。とうぜん彼に疑惑が。ところがアリバイがあります。なんと隣のアパートで見ていた女がいたのですね。やがて恋仲になり・・・。せっかく手に入れかかった幸せ、もう少しというところで。自分が蒔いた種ですから、「孤独な場所に」残された主人公には同情できません。
ま、ちょっとかなり粗っぽい展開なのですが、ボギーの演技と隣家の女を演じるグロリア・グレアムが結構見せてくれるので、まあまあのミステリー、サスペンスフルなフィルム・ノワールには仕上がっていたのかなという感想です。