ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

ひさしぶりに芸劇へ。

220908  このホールに来たのは、前回がいつだったか思い出せないほど遠い昔。やはり池上あたりから池袋というのはかなりの遠隔地ゆえ、どんどん足が遠のいていきます。

午前中に、出演者(合唱)の方から連絡があり、予定なければ来ませんかとまさかのお誘い。

第九は毎年自分でも歌いに行くし、演奏を聴きに行くのですが、今回のはかなり異色の演奏でした。

このチラシ上部にあるマエストロの解説で、少し見えにくいですが、上の色のついている部分に注目です。こういう確かな意図のもとに振る方は、かなり珍しいと言えます。ここに書いただけでは意図が聴衆に伝わりにくいと思われたようで、演奏前に舞台に登場され、マイクを使ってフランス革命あたりから時系列的に解説がありました。

そして、問題の箇所、バリトンが朗々と「おお、友よ!」と歌う部分、これやりません!と。場内、ざわつきましたね。うまい持っていき方です。「いえいえ、歌わないんじゃないんです。いつもとは違うと申し上げているんです!」

俄然興味湧きますよね。はてさて、どうしようというのか、蓋を開けてのお楽しみ!その前に、フィンランディアがありました。上のチラシに完成稿(合唱付き)世界初演とあります。どの辺が世界初演かよくわからないのです。

私にはよく聞くフィンランディアで、重々しい荘重な調べで始まります。しばらくして、合唱が響きます。これがすこぶる気持ちの良いもので、ずーっと聞いていたくなるほどですが、そう聴衆に語りかけるようにして終わってしまいます。

一旦、短めの休憩が入り、さ、いよいよ始まります。第1楽章、驚くような出だしではありません。多少、速めかも、という程度なんですが、3楽章で、急に速くなる箇所がでてきたりして、こりゃ前触れ?そして4楽章へ。

確かにどんどん高速になっていきます。ま、例のメロディーのところは、それほどではないのですが、そしてバリトン、緊張の面持ちで、合唱団と共に立ち上がり、♪♪ O  FREUNDE ♪♪、来た、来た!なにやら歌うというより大声で語りかけるように、顔面を朱に染めてのど迫力!なるほど、こういうことかあ、と。

その後、部分的に超高速になったり、普通のテンポになったりと、最後のPrestissimoのところは、まあよくあるようなテンポで終演!!ウーン、面白かった!やはり、こういうのはアリですねぇ。マエストロの解釈がどこかにはっきりと表明される演奏って、素晴らしいです。別に奇を衒うのとは違いますからね。しっかりした裏付けがあって初めて説得力があるんでしょう。

合唱、すごかった!一人一人がソロを歌える力量を備えた人たちの集団ですから、ま、うまいのは当然なんでしょうけど、個人でうたうのとは違う歌い方で一つの集団としての”声”作りっていんですかね。そこにこの合唱団の強みがあるような。例えが悪いですが、4番バッター級だけ揃えても試合に勝てないチームって、時々ありましたからねぇ。

ソリスト陣、どなたも、以前から何回も聞かせていただいています。ま、最強の布陣でしょう。こんないい席で聞かせてもらっちゃいました。

合唱団、女声陣の一部だけです。ごらんのようにマスク姿なんで、どこにどなたがいるか、探すのは至難の技でした。それでこうして映像に収めて後でゆっくりと探して、いたいた、ここここ!って趣向で、それもまたお楽しみ。早くマスク外して歌ってほしいとつくづく思いました。今日はオケの弦楽メンバーも8割以上の方々,マスク姿でした。

高速演奏ゆえ、第九は全部で60分ほどの演奏時間。予定よりだいぶ早く家に帰りつきました。