ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実」@Amazon Prime

230206 THE LAST FULL MEASURE 米 1h56m  2019  脚本・監督:トッド・ロビンソン 日本公開は2021年春。

あまり期待せずに見始めたのですが、ぐいぐい引き込まれました。

これはヴェトナム戦争時代の話です。日本人にはやや馴染みにくいテーマかも知れません。その戦場で、あり得ない英雄的行動を取り、そしてそこで戦死した空軍医療兵が、そんな驚異的な働きをしたにもかかわらず名誉勲章が授与されなかった理由が実に30年後に明らかとなり、ついに彼の父親がガンで亡くなる寸前に、ぎりぎりで受賞にこぎつけられたという事実を描いた作品です。

最後の授与式の素晴らしいスピーチにははからずも涙しました。ああいう、演出かどうか分かりませんが、自分にはそれほど作為的には見えませんでしたが、見事なスピーチをするところがいかにもアメリカ的であり、そのことが大変羨ましくもありました。

ちなみに、このタイトルですが、これは1863年リンカーンゲティスバーグで行った名スピーチに出てくる言葉で、「至高の犠牲」、「最高の貢献」などと訳される部分で最後の全力を尽くして身命を捧げるということのようです。ここのmeasureは、「手段」、「措置」、「施策」などの意味でしょうか。ですから、邦題にこの副題をつけたのはよかったと思います。かたかなだけでは???でしょうから。

キャスト陣がすごいです。主役はペンタゴンの役人(セバスチャン・スタン)ですが、脇役陣が実に豪華です。ピーター・フォンダは本作のクランクアップ直後に亡くなり、エンドロールにも「ピーター・フォンダ」に捧ぐという文字が出ます。年齢と共に益々父親そっくりになっていました。

またフォン・トラップ大佐のクリストファー・プラマーも、これが最後の出演作となりました。佳作。