230809 LE CONSEGUENZE DELL'AMORE (愛の帰結)2004 1h40m 脚本・監督:パオロ・ソレンティーノ
これは傑作です。2004年の作品なのですが、まったく存在すら知りませんでした。イタリア映画だというのに!冒頭の動く歩道の長回しから、なにかぞくっとします。全体に劇伴もすばらしいし、やはりこの人、ただものではないと実感させる道具立てです。
このソレンティーノさん、ナポリ出身で53歳と若いですから、それほどの作品数ではありませんが2013年の「グレート・ビューティー/追憶のローマ」他、何作か見ていますが、どれも立派な作品です。この人、原案も脚本も監督も担当する、なかなかの才人です。
さて、本作、トニ・セルヴィッロなくしては生まれなかったかもというほどの彼の当たり役の一つでしょうか。すばらしい存在感をいかんなく。彼の扮するティッタ・ディ・ジローラモという、かなり変わった名前の主人公、前半は???ナニモノってなかんじで進行していきます。
一見、大学教授風、なぜかローマの安宿に長逗留中で、従業員たちとは顔見知りなのに、ろくに口をききません。特にいつも立ち寄るバーの女性バーテンダー、ソフィア(これがなんとかのアンナ・マニャーニの孫、オリヴィア・マニャーニさん、いい味、出しています!)がせっかく愛想を少しは振り撒いて、毎回挨拶するのに、完全無視。
たまりかねて、ある時、彼にそのことで文句を言うシーンがあります。さすがにこれには反応せざるを得ず、そこを起点として、後半が始まる感じです。これが一転、急展開も急で、なんとこのティッタさん、とんでもない稼業に手を出していたことが次第に明かされていきます。
いやまあ、起承転結の見事さというんでしょうか、たまげます。まさかの名画でした。
原題も邦題もま、可もなく不可もなし。ただ、あれが愛と言えるのかなあ・・・。