ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

甲斐荘楠音という才人

230818 昼の会食と夜の合唱練習の間、かなり時間があるので、どうしようか迷いました。一旦帰宅するにはあまりに無駄なので、東京駅界隈で過ごすことにし、東京ステーションギャラリーで開催中の甲斐荘楠音(かいのしょうただおと)の回顧展を見ることにしました。展覧会って、最後がいつだったか思い出せないほど、長期にわたって行っていません。コロナ禍とNHKの「日曜美術館」のせいです。

この画家(後半生は必ずしも画家というわけではなかったようですが)のことも、NHK の番組で初めて知った次第で、彼に関しての知識、まったくのゼロでした。

このようなすごい人がいたことをまるで知らなかったというのも不思議な気がするのですが、「全貌」で明らかにされるように、後半は映画の美術の世界にどっぷりという、まさに才人ゆえ異色、というか画家と呼ぶにはかなり異端だったことによるものではないかと勝手に想像しています。

上の作品、「春」は本回顧展のためにメトロポリタン美術館から借り出したものです。

独特の筆使い、色使いで、画面の構成力も素晴らしいの一言!スケールが大きくしかも繊細。若い頃に、ミケランジェロやレオナルドの作品をずいぶん研究したらしく、その影響が顕著な作品も少なくありませんでした。

会場の1/3は映画関連で、彼がデザインした衣装が所狭しと並んでいました。中にはアカデミー賞の衣装デザイン賞のノミネートされた作品もありました。衣装と一緒に、当時の、つまり戦後まもない頃の時代劇のポスターがびっしり。我々世代には馴染みのものばかりですが、若い世代はあまり関心ないのかも知れません。

また、外国人の姿もチラホラでしたが、どうでしたかね、彼らに甲斐荘楠音の作品がどう映っているのか興味津々でした。

日本画が主体ですが、中には油絵も何点か見られました。写真をもとにした制作法も試していたので、さまざまな舞台人やアスリートの姿を雑誌、新聞から切り抜いてスクラップブックを作っており、そうした展示も興味をひきました。詳細は→こちら