ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「もう一度キスを」@イタリア映画祭(配信)

230818 BACIAMI ANCORA(そのまま)  2010  2h19m  脚本・監督:ガブリエーレ・ムッチーノ


本映画祭の配信版、最後に見る作品です。それにしても、我ながらよく見たものです。10本以上は見たと思います。今までこれだけまとめてイタリア映画ばかりを視聴したのはもちろん初めてです。

典型的な群像劇。カルロ、マルコ、パオロ、アドリアーノ、アルベルトという5人の中年男のお話。それにしても、どれも古典的、標準的な名前が並んだものです。日本と違って、保守的で依然カトリック帰依者が多いわけで、いわゆるキラキラネームはほぼないお国柄。

仲良し5人衆ですが、刑期を終えて帰って来た者、離婚したけど、ずるずる関係を続ける者、不妊ゆえに夫婦の危機が迫る者、仲間の別れた元女房に接近する者、イタリアに嫌気がさして、海外へ一攫千金を夢見る者、という曲者揃いです。全員チャラ男です。

まあ、しかし、今更ですが、日本人とは対極のメンタリティーを持つのがイタリア人と、改めて再認識した次第です。要するに、日本人の感覚からは到底あり得ない世界が描かれます。

ラストに涙と笑いがありますが、ラストシーンは夢にまで見た新天地で感慨に浸るアルベルトという幕切れがいささか意外でした。一番出番の少ない役でしたからね。

佳作とまでは言えませんが、まあまあそこそこ楽しめました。見ようと思ったきっかけは割と最近見たばかりの、同じくイタリア映画祭出品作の一つ、「気楽な人生」で共演したステーファノ・アッコルシ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、ヴィットリア・プッチーニ3人の顔合わせであることです。プッチーニさん、本作でもいい演技しているし、共演女優陣ではピカイチです。

マイナーな役ですが、後半にヴァレーリア・ブルーニ・テデスキが出て来たのはちょっとした驚きでした。この中では断然ビッグネームですからね。それにしても贅沢なキャスティングするものです。この監督だからこそでしょう。