ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「刑事シンクレア シャーウッドの事件」@Amazon Prime

230927 SHERWOODTVシリーズ 全6話 2022 

このところ、英国発の刑事ものシリーズにはまった感があります。米国製に比べると、派手さはなく、じっくりと見せるタイプが心地よいです。だいぶ英国の警察事情にくわしくなりました。1話が1時間というのも見やすくてよろしい。

これは実際に起きた2件の殺人事件に想を得て製作総指揮に当たった脚本家ジェームス・グレアムが創作した作品です。

舞台はイングランド北部のノッティンガムシャーにあるシャーウッドです。ロビン・フッドの故郷とも言える町ですが、かつて炭鉱で栄えたところです。時代は現代ですが、事件の発端を1984年の炭鉱争議に置いています。

当時、炭鉱争議が一段と激しくなってきて、スト決行の組合側と、スト反対派に分かれて、町は二分され、憎しみの連鎖から、ついに殺人事件まで起き、それまで仲良しだった家族たちも引き裂かれるような悲惨な事態に。

これこそ当時政権にいたサッチャーが狙っていたことだったのです。いわゆるサッチャリズムと呼ばれた経済政策で民営化を進めていて、とりわけ先が見えているのに金のかかる炭鉱が狙い撃ちにされました。アーサー・スカーギルという男が組合側の急先鋒で、激しくサッチャーと対立していました。

そんな中で、警察側からスパイとして現地コミュニティーに潜入した5人が暗躍、人知れず、町民の分断に決定的な道筋をつけた形となります。その犯人探しとは別に、まるでロビンフッドかと思わせる者が殺人事件を起こし、さらに町は紛糾していきます。

登場人物が多く、初めはしばらく混乱しますが、徐々に相関関係がはっきりすると、その後はとても分かりやすい展開の仕方が見事です。俳優たち(日本人が知るような俳優はせいぜい「ダウントンアビー」に出た女優ぐらいで、他は無名に近い)の演技も見事です。

私事ながら、1984年の炭鉱ストの時にたまたまロンドンに駐在していましたので、連日、この模様をテレビで見ていましたので、余計に興味が沸いたシリーズでした。シーズン2が製作中のようで、早く見たいものです。