240331 毎年秋と春に開催される音大フェスは、各校の競演となるわけですが、こちらは、各校から選りすぐりのメンバーが一堂に会しての演奏会です。
カンブルランの指揮ぶりは、すこぶる丁寧で、相当分かりやすく感じました。なんか人柄がそのまま出ている振り方で、大いに好感しました。このマエストロ、2010年から10年近く読響を振っていたのに、一度も聞いたことがありませんでした。以下、当日配布のプログラムから要点を拾いつつ
マーラーの10番て、これまでほとんど聞いたことがありませんでした。モーツァルト同様、途中まで書いて亡くなったので、2楽章以降は詳細なスケッチに基づいて別人が完成させたという、曰く付きの作品です。「アダージョ」という副題は第1楽章のことを指しています。
彼の晩年はかなり悲惨で、ユダヤ人ゆえの嫌がらせも多かったようで、嫌気がさして、新天地アメリカに居を移してしまいました。その後は健康状態の深刻さが際立ち、1911年に51歳の若さで没したのですが、直前まで取り組んでいたのがこの作品ということです。最晩年の彼の心象風景が垣間見えるように聞こえました。
「ダフニスとクロエ」はバレエ音楽です。ロシア伝説のバレエダンサー振付師、ディアギレフの委嘱を受けて1907年に作曲を始めたものの、なかなかディアギレフの望むところとはならず、結局、マーラーが没した翌年にやっとパリのシャトレ座で初演を迎えたたことに。(それでも、ストラヴィンスキーの「春の祭典」初演の1年前!)
しかし、これでバレエ、踊れるの?ってな感じで、あまりに壮大すぎるという印象を受けました。金管も打楽器もがんがん響くし、案の定、初演時に一部のダンサーから踊りにくいと苦情が出たようです。
珍しく合唱が入ります。いきなり冒頭から、それも全員が楽譜で顔を覆うようにして、できるだけ発声を絞っているようなヴォカリーズです。
なかなか難しい演奏なんですが、学生さんたち、見事にやり切りましたね。カンブルラン先生もことのほか、ご満足の態で、なんどもカーテンコールに応じていました。
余談ですが、休憩時間にトイレに行こうかと思ったら、普段は長い行列の女性陣を尻目に、男性トイレはすいすいと入れるのに、なんと今日は男声陣の方が長い行列という珍現象。後で、客席を見渡すと確かに男性、それも愚亭のような高齢者の姿が目立ち、男女比は7:3ぐらいでした。ということは、女性はあまりマーラーとかラベルの管弦楽曲には関心が薄いのですかね。