ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「オッペンハイマー」

240402 OPPENHEIMAR 2023 米 3h 製(共)・脚本・監督:クリストファー・ノーラン

オッペンハイマーのことは、原爆開発者で、日本に落としたことを後半生、後悔し続け、精神を病むほどだったことは、以前からうっすらとは知っていましたが、本作を見て、流れとしてはその通りなのですが、ノーランが彼の人生を徹底的に掘り下げ、光と闇の対比を鮮やかに見せてくれたことで、改めて大いに考えさせられた次第です。彼の本作に対する本気度はたっぷり感じ取りました。

本作は本来であれば、昨夏、日本公開予定でしたが、原爆投下を扱っていることでもあり、日本人のリアクションを気に掛けた配給会社が大幅に遅らせたものです。そりゃそうでしょう、広島にそれを投下して彼らが欣喜雀躍するシーンがありますから、やはり落とされた側としては映画であろうと、気持ちの良いものではありません。

全体の4/5が聴聞会ほか会議のシーンですから、よほど情報を得ていないとかなり退屈します。私もたまたま前夜聞いたラジオ番組で体調万全で見るようにと言ったコメンテーターの意図が分かりました。それにしても3時間は長すぎます。どうでもいいようなベッドシーンなどカットすべきでした。

ロスアラモス実験場での最初の原爆(トリニティー)爆発シーンは本作最大の見せ場です。息を呑みます。その瞬間を無音にしてうまく撮っています。かなり遅れて地響きのような音響が。おそらくIMAXだからこその臨場感だったかも。

オッピー(オッペンハイマーの愛称)を演じたアイリッシュキリアン・マーフィ、好きな俳優です。ネトフリで見た長編TVドラマシリーズ「ピーキー・ブラインダー」の印象が鮮烈ですが、それ以外にも、彼の主演作品は数多く見ていて、推しの一人に。

ただ、アカデミー賞7部門も取るような作品とは愚亭には到底思えません。戦争映画で同じく7部門のアカデミー賞を取ったデビッド・リーンの「戦場にかける橋」に軍配を上げます。他人(ひと)に勧めることはあまりしないでしょう。

そう言えば、つい最近配信で見たばかりの「戦場のメリークリスマス」でのローレンス役だったトム・コンティ(イタリア系スコットランド人)がアインシュタイン役で出演しています。またトルーマン大統領にはゲイリー・オールドマン、オッピー夫人にはエミリー・ブラント(無愛想で厳しい役どころ)、マット・デイモンロバート・ダウニーJr. など、結構大物が名を連ねています。