ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

LAW & ODER: Special Victimes Unit 17-21

220828  およそ半年ぶりにこのシリーズを見ました。相変わらずキレのいいドラマです。

途切れ途切れに見ていますが、今回も次回は何を見ようかと悩ましい時に、息継ぎ的に見るのがこの海外ドラマです。これだけはhuluで見ています。前回、どこまで見たのか、ちゃんと覚えていて、今回は17章の21話だよ、ということで、1話完結で見ました。

このエピソードは日本でもお馴染みとなったリアリティー番組を取り上げています。視聴者はどこまでがやらせか実際か区別がつきにくいような心理状態にして進行していくドラマで、本家のアメリカ版はかなりどぎついです。

やらせなのか、実際だったのか、ことはレイプかどうか、という際どいところに触れていくので、日本では絶対に起こり得ないという点では、興味深く視聴しました。

テレビ局、とくにプロデューサーたちが巧みに隠蔽工作をして警察をあざむこうとしますが、ギリギリでなんとか真相が暴かれるというお話。

今回から、ご贔屓のケリー・ギディッシュ(上の写真、右から二人目)が産休から復帰していて、嬉しいです。やはり彼女がそこにいるかいないか、これは大きなインパクトの差となるのは私だけではないと思いますねぇ。

「旅愁」@Amazon Prime Video

220828 SEPTEMBER AFFAIR (9月の情事)104分、米 1950  監督:ウィリアム・ディターリ

うーん、なんと言うことないメロドラマですが、主演の二人が当時人気絶頂だったことと、戦後5年で公開された作品というところが、味噌ですかねぇ。ジョセフ・コットンはともかく、ジョーン・フォンテーンの気品が光ります。品のある美しさはデボラ・カーに共通するように感じられます。

舞台は2/3がイタリア、特にナポリで、終盤1/3がニューヨークということで、とりわけナポリ、カプリ、ポンペイなどが登場する前半は観光要素たっぷり。青の洞窟が白黒というのは、仕方ないとはいえ、かなり残念です。

ジェシカ・テンディーさん、高齢になっての作品(DRIVING MISS DAISY)を最初に見ているので、こんな若い時代の彼女のイメージがまったくわかず、しばらく「これ、誰?」っていう感じでした。

また「外人部隊」や「舞踏会の手帖」のフランソワーズ・ロゼーの存在感にはいささかタジタジでした。こんな大柄な女優だったと再認識。さすがの貫禄でした。

劇中、ピアニストである主人公マニーナが弾くラフマ2ですが、これまでは、この曲を聞けばほぼ条件反射的に「7年目の浮気」を思い出していたので、この構図が自分の中ですこしばかり変わりそうです。

それとタイトルにもなっている9月、即ちSemptember Songが効果的に使われているのも深く印象に残ります。歌詞がまた大変イミシンで、二人で聞き惚れて時間の経過を忘れ、乗る予定だった飛行機に間に合いませんでした。間に合っていれば、この話はなしでしたが。

また、マニーナがピアノレッスン中にこのセプテンバー・ソングとラフマ2をアレンジして融合させて弾くシーンも実に見事な演出でした。

蛇足ながら、本作は原題より邦題の方が優れていると思いますが、上のポスターはまったくいただけません。本作の雰囲気をぶち壊してます。

「エリザベス ゴールデンエイジ」@Amazon Prime Video

220826 ELIZABETH: THE GOLDEN AGE 英仏合作、114分、監督:シェカール・カプールパキスタン人、ケイト・ブランシェット推しだったらしい)同じくエリザベスを伝記的にに描いた9年前の前作、ELIZABETHでも演じたケイト・ブランシェット再登場です。

ゴールデン・エイジとはイギリスが歴史上、最も輝かしい時代、つまりスペインの無敵艦隊に奇襲で勝利し、以降、スペインの没落に伴い、世界の表舞台に登場し日の沈まぬ帝国と築くことになるのですが、ま、その礎となったのがこの時のエリザベスというわけです。

後半、海戦の見せ場はあるものの、全体としては平板で単調、期待を裏切ります。後半で少し持ち直したかなという印象です。歴史ドラマとしては、それなりに楽しめると思いました。女王側近のウォルジンガム卿は、前作同様、豪州人のジェフリー・ラッシュが演じました。ほかにサー・ウォルター・ローリーには、前作を鑑賞して絶対に本作に関わろうと誓ったとされるクライブ・オーエンが。ま、可もなく不可もなしってとこですかね。

「ベター・コール・ソウル」@Netflix 完結!

220825

ブラックリスト」並みに長かった「ブレーキングバッド」のスピンオフとして、一部同時並行的に作られた本シリーズ、やっと完結です。前回は最終章シーズン6の前半まででしたが、今回、後半を一挙に配信でした。いやあすごかった。IMDbのレートで9.9というのは今まで見たことがありませんから、どんだけ注目されたか判ろうというもの。

そして、かなり怖かったです。特に、サラマンカ一家の中核となっていたラロが誰にも読めない天才的な動きをするので、ほんとにハラハラドキドキの連続でした。

一方、かつて同じ法律事務所仲間だったハワードを追い詰め追い落とすことに成功したジミーとキム夫婦を、ハワードが堪忍袋の緒を切って夜中、不意に夫婦を訪問、「お前ら、ほんとにいい加減にしろよな!」ってなるところへ、なぜかラロまで登場、二人の目の前でラロが突然・・・。

さらに、ラロと、互いに潰し合いをしている「唐揚げ兄弟」経営者を装うガスとの対決、ラロの死、などなど見せ場てんこ盛りで腹一杯でした。これでほんとに完結でしょう。

見始めた当初はまさかこれほどとは思ってなかったので、ビンゴ!の大当たりでした。クリエーターのヴィンス・ギリガンには大喝采です。

途中、本編のブレーキングバッドとのストーリーが交錯したり、BBの主演者が登場したりと、視聴者を大いに喜ばせて来れました。しばしBCSロスになりそうです。

「オリーブの下に平和はない」@Amazon Prime Video

220819 NON C'È PACE TRA GLI ULIVI (正確には、オリーブの木々の間には平和はない、ですがこの邦題は優れていますね。)イタリア 1950  107分 監督:ジュゼッペ・デ・サンティス(「苦い米」1948)

戦後間もない頃の作品ゆえ、会話、台詞回しがいかにもぎこちなく、ちょっと笑ってしまいますが、これって、日本映画でもその当時の作品を見ると、同じように感じますので、演技がうまいとか下手とかいう問題ではないでしょう。

ラフ・ヴァローネ、この時、34歳で、ギラギラしたものを全身に漲らせています。また相手役のルチーア・ボゼーに至っては19歳!ピチピチ、ハツラツで、ムンムンするほどのセックスアピールを纏っています。早熟です。後にスペイン人俳優、ルイス・ミゲル・ドミンギンと結婚し、スペイン映画にも多く出演したりして、スペインで亡くなっています。

農場主(フォルコ・ルッリ)に弄ばれるルチーア(ルチーア・ボゼー)

舞台は監督の出身でもある山間地チョチャリーア(ローマの東南東100km)にある村です。復員してきた主人公フランチェスコラフ・ヴァローネ)は、自分がいない間に全財産どころか、許嫁(ルチーア・ボゼ)までを農場主(懐かしやフォルコ・ルッリ、代表作「目には眼を」)に奪われているのを知り、土地の古い仲間を味方につけ、復習を遂げるまでを描きます。半分は実際に起きたことらしいです。

主役以外は、ほとんどは土地の住人でしょう。演技をつけるのは大変だったことでしょう。敗戦に打ちひしがれていたのは、我ら同様で、そこから5年、なんとか再興を目指そうとする意気込みとか将来を見据えようとする作者の視点が感じられる作品になっています。

ちなみにデ・サンティス監督はルチーア役には「苦い米」で主役に抜擢したシルヴァーナ・マンガノを充てる予定でしたが、妊娠中としり、急遽ルチーア・ボゼーに変更したと伝わっています。