140126 昨年10月に封切った作品。今頃、再び東京で。キネカ大森。上映後監督の挨拶があるという回で混雑が予想され、かなり早く着いたのだが、ガラガラ。結局30人しか入らなかったが、監督のトークと質疑が面白かった。行ってよかった!
この作品、1982年というから、かれこれ30年も前に16mm時代劇として話題になった作品のリメイクとは!原案・脚本・製作・監督を三上康雄が一人四役!出演陣は、平岳大、若林豪、目黒祐樹など大物を揃えているが、主役は寧ろ若手の脇崎智史が演じる因幡藩藩士香川廣樹だろう。
ストーリーは、以下、オフィシャルサイトから借りよう。
あの時代の武家社会では、藩のためなら、どんな理不尽なこともまかり通ってしまうという、とんでもない時代。「切腹」、「上意討ち」、「13人の刺客」、「たそがれ清兵衛」など、これまで繰り返し描かれており、今更驚くことではないが、この作品、ストーリーより画面の描き方が実に洗練されていることにも感心した。
彩度を抑え、ほとんどモノクロで描く背景の建物や室内のたたずまい、精緻に構築された構図に合わせた人の動き、まったく無駄のない撮影手法がまず見事だ。また殺陣の場面も、血がまったくと言っていいほど見えない。この点について、監督に質問したが、リアリズムに徹した結果とおっしゃる。討ち手の一人が頸動脈を切られた場面のみ、盛大に迸るのみ。
音も、開幕から70分、声や足音などの自然の音以外には何も聞こえない。長回しの殺陣のシーンで、初めて「倭太鼓飛龍」の、ずしんと腹に響く荒太鼓が鳴るが、これが実に圧倒的だ。
因に、海外配給用に英文タイトルも出来ていて、BUSHIDOUだそうだ。ただ、まだ輸出先未定で、多分ヨーロッパと三上監督は明言されていた。海外でも、きっとヒットするだろう。
蠢動の言葉の意味を監督に尋ねる品のいい老婦人がいたが、そのぐらい知っておいて欲しいね。「春の下に虫が二匹いるから、そういうことなのかしらね」と来たもんだ。
質疑応答での三上監督。関西弁でまくしたてる、実に気さくであけっぴろげの人だ。(ガラケー撮影)
#4 画像はALLCINEMA on lineから