190910 DILILI A PARIS 94分、仏・ベルギー・独合作 脚本・監督:ミシェル・オスロ
アニメ作品を映画館で見ることは稀だが、予告編を見ていて無性に大きな画面で見たいと思った。それと先日放映されていた故高畑 勲についての番組にオスロ監督が登場して高畑にたいするオマージュを語っていたのを見たことも本作を見たくなった一因。
日本やアメリカのアニメとは明らかに一線を画した製作法に興味をそそられた。背景は実写を主として使い、そこに陰影のないペタッとした画法でフィギュアを乗せ、更にそこでは、フランス人らしい色調感覚やら誇張したデフォルメによる人、動物などが奇妙にマッチしていて、実に独特の世界が創られている。
ストーリーは、ニユーカレドニアから来た少女ディリリが仲良くなった配達人オレルの案内でパリの名所めぐり、途中、怪しげな男たちの集団に襲われ、逃亡しつつ反撃するという他愛のないもの。
だが、バトー・ラヴォアール(洗濯船)では、ピカソ、マチス、モジリアニ、アンリ・ルソー、シュザンヌ・ヴァラドンなどが自作の絵と共に登場したり、ムーラン・ルージュでは制作中のロートレックと親しくなったり、オペラ座の地下水路から脱出する際は、歌姫エマ・カルヴェ(歌声はナタリー・ドゥッセー)が助っ人で登場したり、ロダンのアトリエを訪ねて、カミーユ・クローデルを紹介されたり、キュリー夫人、パストゥール、プルーストなどなど多数似顔絵で登場するから、それだけでも面白さが倍加する。
また、街角には一見してそれと分かる、サラ・ベルナールを扱ったミュシャやロートレックのポスターを貼った広告塔が目立つ。音楽関係では、エリック・サティが登場して自作のグノシエンヌを演奏してみたり・・・
まあ、この調子で、実に楽しい映画に仕上がっている。美術、音楽、パリ好きには必見の作品。
#55 画像はIMDbとオフィシャル・サイトから。