ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

ミューザ川崎&東京交響楽団名曲全集 第121回

161008

f:id:grappatei:20161009135005j:plain

ジョナサン・ノットがこの会場を根城とする東響の音楽監督に就任したのは2年前だが、愚亭が実際に聞いたのはまだ数度。いかにも謙虚で控えめな54歳のイギリス人という印象で、それがそのまま演奏ぶりにも表れているようだ。楽譜台を置かず、情熱的で、とても分かりやすい振り方とでも言うのか。団員からの信頼も絶大なものを感じる。

今日のオケの配置だが、比較的珍しい、バイオリン両翼配置で、古典的弦楽五部配置というらしいスタイル。一般的な音の高低順ではなく、コンバスは左手の後方。これは何か今日の演目と関係があるのだろうか。

コンマスは4人いるが、今日は水谷 晃が首席で、2番が長身のニキティン、3番に田尻 順が来て、4番に、一見気難しそうな廣岡克隆と言う布陣。見慣れた顔だ。逆に、見慣れた二大スキンヘッドのエマニュエル・ヌヴークラリネット)とジョナサン・ハミル(ホルン)の姿が見えないのが寂しい。その代わり、若手の、特に女性奏者がフレッシュな印象を与える。

今日はブラ1を楽しみにして来たが、まったく裏切られることはなかった、完璧な演奏!今更だが、ブラームスの作品中、やはり群を抜いていると思うし、無駄な20年ではなかった。1楽章から終楽章まで、どこを切り取っても心地よく、聞き応え、たっぷりだ。解説によると、同じ時期にブルックナー交響曲5番を、チャイコフスキーが4番を作っていたというから、凄い時代だったんだ。

アンコール曲は初めて聞くジェルジュ・リゲティ(ユダヤ系ハンガリー人)によるコンチェルト・ロマネスク、またはルーマニア協奏曲という15分弱の作品。これの後半部分が演奏されたが、これが難曲というか、かなりアクロバティックな演奏を求められるもので、とりわけ首席バイオリニストのソロと楽団の掛け合いが実に愉快であった。下の動画はマリス・ヤンソンス指揮によるバヴァリア放送管弦楽団の演奏。

 

#55