ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

府中で「カヴァレリア」を楽しむ

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応援している青栁・江口夫妻から誘われて、合唱練習の終盤こっそり抜け出して、蒲田から府中へ向かった。

開場時間の20分前に着いたら、20mぐらいの行列が。それでも2,000を超える客席数のどりーむホールだから、ゆうゆうといい席を確保。今回は演奏会形式ということだったが、蓋を開けてみれば、コスチュームも振りや動きも本公演並みで、ないのは舞台装置だけという、ありがたい公演!

オケと合唱団の間の、かなり狭い隙間までも巧みに使って動きを作っていたは見事だった。後で聞いたら、演奏会形式ゆえ演出は入らず歌手たちがそうした工夫をしたというから、そこもまた感心しきりだった。

今回は割に舞台近くに陣取っていたのに、オペラグラスまで使って、いつになく念入りに歌手たち、オケ、そして合唱メンバーの表情や動きを観察してみたが、とりわけソリストたちの表情が素晴らしく、やはりこういうところまでも見て、それがオペラなのだとつくづくと感じ入った次第。

オケは、筑波大附属高校が母体になっているということで、全体に若さあふれるフレッシュなメンバー揃い。響きも若々しく、マエストロ柴田真郁が初々しい彼らをうまく乗せて、それなりに瑞々しいサウンドを届けてくれたと思う。

合唱団は今日の公演のために募集されたそうで、後で団員の方に聞いたら、12月から練習に入ったそうで、それにはびっくり!実際に合唱が歌う場面はトータルで20分ほどではあったが、イタリア語だし、結構苦労があったと思われる。楽譜持ちだったが、ほとんどの団員がチラッと目を落とす程度で、マエストロをしっかり見て歌っていたのが印象的。

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それにもまして、ソリスト陣がご覧の通り、まことに豪華な布陣で、言うことなし。日本人4人はいずれも歌唱も演技もトップクラスで、以前にもここでコメントしているのでいまさら付け加えることは何もない。ウクライナ出身のソプラノ、オクサーナ・ステパニュックは今回初めて聞いた。やはり日本人とはすこしだけ異なるような気がするが、それはそれで素敵な音色で、容姿も含め、ローラにはぴったりの演唱だったと思う。

もともと主役のトゥリッドゥは村一番の美女ローラと恋仲だったのが、兵役に取られて戻ってみたら、馬車屋のアルフィオとできちゃって、夫婦にまでなってたというから、そりゃ頭にくるわな、まして熱しやすいシチリア人だもの。んで、腹いせに貞淑なサントゥッツァと一緒にはなったけど、やっぱ派手なローラがどうしても忘れらんない。どうすべぇ。

アルフィオとサントゥッツァの目を盗んで、こそこそローラと逢瀬を重ねるが、狭い村だから、あっという間に噂に。その辺、考えが足らないというか、バカなんだな、このトゥリッドゥという男は。

可哀想なのは一途なサントゥッツァ!トゥリッドゥの母親のマンマ・ルチーアに相談しても埒が明かないこと、知っていて、愚痴をこぼすしかない。

結局解決の糸口がないまま、悲劇的結末で幕というわけ。ま、言ってみればシチリアでは、そこいらの村々で日常的に起きていた、まさに絵に描いたような悲劇なんだろう。

村人たちも結構無責任で、面白がって囃し立てるばかりだし、マンマ・ルチーアもてめえの愚息が引き起こしたラブ・アフェアなのに、おろおろするばかりっていうのもねぇ〜、見ていて歯がゆいったらありゃしない。

それにしても、このヴェリズモオペラの傑作は、なんど見ても、何度聴いても、ほんとうに素晴らしい!

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左から須藤慎吾(今回のアルフィオも存在感たっぷり)、青栁素晴(冒頭、いきなりのアリアがあるから、大変。サントゥッツァとの息のあった名演唱)、オクサーナ・ステパニュック(やはりこうして見ればひときわ異彩を放っている)サンタことサントゥッツァの江口二美(余裕の歌とお芝居。安心して聞き惚れていた)そして巌淵真理(この時、感極まって、涙)

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左端はマエストロ柴田真郁

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⬆︎マンマ・ルチーアを演じたメゾソプラノ巌淵真理。次はなんとサントゥッツァを演じることが決まっているとか。

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もう10年以上にわたって応援しているサントゥッツァを演じたソプラノの江口二美。この素敵なコスチュームも自前で用意したもの。

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#4(文中敬称略)