ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

A LA CARTEシリーズ第10弾 オペレッタ「こうもり」

180427 今や、大変な売れっ子ピアニスト、吉田貴至(たかゆき)の主宰団体、都路アートガーデンが9年前から毎年開催しているシリーズも今回で10回目という節目の開催となった。年々人気が高まり、今回は昼夜2回公演で満員だから、175席X2で350人は動員したことになる。興行的にもホクホクかも。

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チラシも当初のものに比べるとすっかり洗練されて、この通り。今回は吉田自身もセリフがあり、たっぷりと厚化粧、えらい変貌ぶりだ。

ところで、今回のチケット売れ行きに大いに貢献したと思われるのは、勝手な推測ながら、新進の森谷真理(ウィーン在住のソプラノ)の初参加ではないか。もちろん他の常連出演者たちも、それぞれに根強いファンが付いているわけだが、そこにさらに一枚厚みが加わった印象だ。

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「こうもり」を前面に押し出しているチラシだが、よく見ると副題として「誰もみたこともない仮面ブドウ会がはじまる」とある。はてさて・・・?つまり、「こうもり」だけでは、このシリーズお得意の、というより、途中からの路線変更で、太田麻衣子演出によるお笑いが取れる場面が不十分と思ってのことか、一部でしっかり聴衆に笑ってもらう狙いがあったような気がした。

上のプログラムのタイトルに舞踏会でなく「ブドウ会」とあるように、ぶどうをテーブルに積んで、これを小道具にして、おふざけを展開、観客を笑かそうという趣向。まあまあ、これはこれで面白かったし、笑わせながらも、歌唱はいずれも素晴らしいの一言!とりわけ、森谷真理の「明日」は彼女の持ち味、高音のキレと、糸を引くような弱音の微妙な響きで忘我の境。

第2部でも仮面を巧妙に用いての演技はさんざん喝采を浴びた。このシリーズは、オペラやオペレッタのことをよく知らなくてもたっぷり楽しませるような工夫、満載だから、広く支持されるのだと思う。大ホールでも満員にできると思われるが、敢えてそれを避けて小ホールで続けるところがいい。聴衆との距離感を大事にしているのだろう。

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過去10回、すべて聴きに行っているが、2回目は大沼 徹ソロ、3回目は同じ年の、例の東日本大震災直後に開催していて、ここだけが変則開催となっている。

最多出演は川越塔子の5回、続いて大沼 徹と、それを引き継ぐように出演し始める金山京介の4回。こうして過去の記録を見ると結構いろいろ発見があって面白い。当然、来年は11回目があると期待している。

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サイン会での森谷真理。あでやかである。隣は川越塔子。「こうもり」の衣装のまま。

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サイン会の列もこれが最後尾。ほっとする望月哲也。汗だくの熱演だった。それと、今回は台本も担当したバリトン大山大輔の痩せぶりには驚いた。12kgも落としたそうで、踏ん張りがきかないか心配したが、本人は身体が軽くなったから軽快な動きができるとダイエットを喜んでいる風。望月はIL DEVUの一員だから、体重は落とせないだろう。

この後、夜の部もあるから、いささかも気の抜けない面々。お疲れ様で〜〜す!!

#25 文中敬称略