ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

コバケン@ミューザ川崎

180611

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舞台後ろのP席も満員で、演奏者、オケ、演目、いずれも人気が高いだけにこれも当然。前半、後半ともにたっぷり堪能し、大喝采と拍手、鳴り止まず。田部京子もなんどもステージに呼び戻されていた。

コバケンは、いつものように終演後の”セレモニー”にたっぷり時間をかける。すべての楽団員とアイコンタクトし、行けるところまで上がって、握手はもちろん、時にはハグまでするという念の入れ方。

この日は、ご自慢の長めの自家製タクトを指揮台の上に置いて一旦退場、戻ってきた時に、そっとマイクをズボンの後ろのポケットに忍ばせておいたのだろう、タイムリーにそれを取り出すと、喋り始める。端的でコミカルな話し方は人柄そのもの。

「悲愴」の大切な冒頭、低い旋律を吹き始めるファゴット奏者、福士マリ子の父親は、芸大でマエストロの2年後輩だったと明かされ、改めて彼女の演奏ぶりを称賛していた。

そのつもりはなかったのだがと前置きして、「ユーモレスク」をアンコールとして演奏すると告げ、聴衆は大喜び!

自分より100歳先輩のチャイコフスキーが、一つ年下のドボルジャークと親交があり(1888年頃)、ロシア語とチェコ語で手紙のやり取りをしていたことや、「ユーモレスク」に人生の機微が、実は細かに込めらていることなどを話し、コンマスのグレブ・ニキティンに冒頭の旋律を演奏させたり、その後のパートをストリングスで弾かせて、解説してみせ、演奏に移った。

こういうサービスはファンにとっては望外の喜びであり、よくよくの事情でもない限り、改めて終演後、すぐ席を立っては絶対にいけないと思い知らされた次第。

 

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