ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

谷中オペラ寺劇場(てらこや)第6回を観て

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シリーズ6回目ということは、初回は2013年か。数回、観に(聴きに)来ている。

コスパの高い演奏会というと、失礼になりそうだが、やはりこの充実した内容のコンサートを@¥3,000で楽しめるのは、そうとしかいいようがない。

今年は、日声協恒例の「海の日のチャリティーコンサート」(7/15)の祝祭合唱団の一員として1年ぶりに芸大の奏楽堂の舞台に乗ることになっているが、合唱団が歌う演目、「カルメン」のタイトルロールを歌うメゾの佐間野朋美が出演するということもあって、久しぶりに初音ホールへ。

普段、合唱練習で見慣れているホールだが、今日は椅子の位置を90度ずらして、コンサート仕様に。舞台はまさにお寺(観智院)の真下に位置する、多分世界でも珍しいホールである。70席ほどが、ほぼ満杯。伴奏は実力、知名度抜群の服部容子。われわれが歌う時も弾いてくれるピアニスト。

解説はいつものように中村敬一。毎度これが楽しみでもある。ジョークを挟みながら、傍のスライドをリモコンで操作しながらこれから聞く演目の詳しい解説をしてくれるのは、まことにありがたい。

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第1部は有名オペラのシェーナを並べ、第2部はフランスオペラの代表格「ウェルテル」

舞台には、ごく簡素な小道具が置かれるだけ。中にはダンボール製の小型ピアノが置かれたり、スタッフの苦労の後が偲ばれる。どれだけ稽古時間があったか分からないが、みなさん大熱演で、圧倒されっぱなし。

とりわけ第2部、ウェルテル役の高柳 圭は、相手(シャルロッテ)が取っ替え引っ替えなのに、ひとりだけ出ずっぱり、しかも高音の連続で、ほんとうにご苦労なことだった。しかもなお、彼の名前だけが上のプログラムには掲載漏れという気の毒な事態に。

蛇足ながら、このホールでは、靴を脱いで用意されたスリッパに履き替える必要がある。この点でも、誠に珍しいホールなのだ。したがって、終演後、広くもない玄関はスリッパから、自分の靴を下駄箱から探し出して履き替える客でごった返すことになる。

出演者は聴衆を見送ることになっているらしく、”その辺”で待機するのだが、このごった返す場所では身の置き所がない。雨天ならともかく、やはり混雑を避けて、一歩外に出た空間にスタンバイすればよかったと思った。そうしていたのは、さすがベテラン、大塚博章、ただ一人!この辺りは事務局スタッフが気を利かして、事前に出演者に伝えるべきだったと思われた。

#28 文中敬称略