ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「夜の訪問者」

201228 下にあるようにこれはもともと戯曲を映像化した作品。芝居としては、すでにあちこちでなんども上演されているようだ。作者はプリーストリー。

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ある富豪一家。娘の婚約祝い。そこへ訪問者が。グールドと名乗る地元署の新入り警部と名乗る。主は大規模な工場経営者。

警部が語るには、先日自殺した女性のことで、尋ねたき儀がある由。自殺した女性は、あまりの低賃金で、経営者に賃上げを要求。聞き入れられず仲間とストに突入。経営者は賃上げに応じるが首謀したこの女性を馘にする。生活に困窮した彼女が選んだ道とは・・・?

警部の尋問相手は一家の主人であるこの経営者だけではなかった。なんと、夫人、娘、その婚約相手、息子、そこにいる全員が彼女の自殺に関与していたことを暴き、いずれ沙汰があるので、待機するように告げて、出ていく。

あまりのことに、全員が茫然自失、さらに互いに疑念を抱くと同時に、冷静に立ち返った時、あの刑事って、そういえば・・・・。謎がなぞを生み、実に巧みな構成である。ひさしぶりに、重厚なミステリーに出会えた。