221204 AMERICAN MURDER: THE FAMILY NEXT DOOR(隣の一家)米 1h23m 監督:ジェニー・ポップルウェル
こんな映画は初めてです。実録とありますが、確かに実写フィルムを編集しただけで構成されています。従って、出演者はすべて実在人物のみ。それにしても、「よくぞ!」と言うほどの出来栄えです。
加害者も被害者も驚くほどの量を撮影していたものです。まあ、今はスマホでなんでも動画が撮れますから、無理もないですが。それと監視カメラ・防犯カメラ、警察のボディ・カメラ、取り調べ中の映像、SNSの画像などを集めて、これだけの作品が作れてしまう、これはすごいことです。今後はこの手の作品が増えるのかも知れませんが、日本では無理でしょうね。
コロラド州在住の一家、絵に描いたような幸せな一家になんでこのような恐ろしい事態が降りかかるのか、にわかには信じられないのです。単なる男のエゴだけで、こういう展開になるんでしょうか。私にはとうてい理解不能です。あまりにも異常過ぎます。犯人は終身刑で現在服役中です。よく死刑にならなかったものです。裁き方が州によって異なりますからね、アメリカは。
昔見たアニエス・ヴァルダ監督の「幸福」(1965)という作品、色彩とバックに流れるヴィヴァルディの「四季」が美しく、印象に残りましたが、ストーリーは今思えば、実に単純でばかばかしくなるほど。幸せな一家が、夫が平然と浮気をして、こっちも好きだがあっちも好きで、どこが悪いの?みたいなことを言い、妻が入水自殺、場面は冒頭の春から秋に。そしてそこにも妻が入れ替わっただけで幸せそうな家族が遠景で遠ざかる、というもの。
まあ、いつの時代も洋の東西を問わず、こういうことをしでかすのは男であり、本作にも確かそのようなことがエンドロールに。佳作ながら、後味が・・・・。