ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「マインドハンター」@Netflix

210512 MINDHUNTERTVシリーズ 2シーズン、全19話。平均@50分

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FBI特別捜査官たちの地道な捜査活動を丁寧に追う作品。時代は1970年代。全体の4割ほどをデビッド・フィンチャーセブン、ゾディアク、ソーシャル・ネットワークドラゴン・タトゥーの女、野望の階段、ゴーン・ガール等々)が担当していることもあり、見ることにしました。

期待に違わず見事な出来栄え。フィンチャー以外が撮ったものも、ほぼハズレはなかったと思います。ただですねぇ、難を言えば、終わり方がショボすぎです。当然、シリーズ3以降へとつながる新たな起点と捉えれば、まあそれもありでしょうけど、ちょっと最後だけはがっかりでした。

事件そのものを映像で捉えることはほとんどないので、ドンパチやカーチェイスなど派手なシーンはほぼ出てきません。ひたすら犯人像を解明しようとする、その名も行動科学班の、かなり地味ながらも緊迫感漂う行動を追います。

扱う事件はいずれもかなりインパクトの強いものばかりで、ほとんどが猟奇殺人事件で、残虐性の強い連続殺人犯を追います。ほぼ実際に起きた事件をベースにしていて、シャロン・ストーンが殺された際の主犯格、でも実際に自分では手は下していないチャールス・マンソンなども登場します。(ちなみにこの役者の特殊メイクは例のアカデミー賞受賞の日本人カズ・ヒロ、『辻一弘』)

このFBIの捜査班の構成メンバーは、どっちが名前でどっちが苗字か分からないような気鋭の捜査官ホールデン・フォード(ジョナサン・グロフ)、彼のお目付役で養子問題で悩むビル・テンチ(ホルト・マカラニ)、そして研究者として後から班に合流したレズのウェンディー・カー博士(アンナ・トーフ、「シークレット・シティー」)

ジョナサン・グロフは実年齢より少し若い27〜29歳という設定。もともとはミュージカル俳優ということですが、かなり線が細く、まことに頼りない存在ですが、頭脳は明晰で、彼の分析は直感力を働かせて迷宮入りしそうな事件を解決し上の信頼が厚い反面、暴走しやすいため、部長からはテンチとカー博士によく見張れという指示が出ています。

それにしても、とんでもない凶悪犯と尋問で向き合う場面は本当に恐ろしくて、見ているこちらもじっとり手に汗を握るほど。とりわけ母親を殺しただけでなく遺体を凌辱したエド・ケンパーは2メートルに及ぶ巨体であり、きゃしゃなフォードが一対一になると、ハラハラしたりする場面も。

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凶悪犯エド・ケンパーを訪ね、尋問するフォード捜査官。怖いシーンです。

1970年代という設定なので、出てくる車種、電話、テレコ、コスチュームほか電化製品などの小物まで含めて見事なほど時代感がよく出ているものと感心しました。前半で登場するテレコの大きくて重そうなこと。終盤はだいぶ小型になり、すでにカセットが使われている時代に入っています。

日本人が見ると、よくあんな風に同僚とは言え、若造とベテラン捜査官がまったく対等な口を利いたり、怒鳴りあったりしてもそれが普通という環境がなんだか羨ましくもあります。日本の警視庁や検察では絶対にありえない光景です。

すでにシーズン5まで行くことが決定しているようですし、シーズン3の配信が待たれます。

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エド・ケンパー役のキャメロン・ブリトンと主役3人