ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「刑事ヴァランダー」@AmazonPrime

231219 Wallander  2008-2016 英TVシリーズ  製作総指揮及び主役を演劇界の鬼才ケネス・ブラナーがやっています。

もともと、これは北欧スェーデン製作のドラマです。これをK. ブラナーが気に入って英国版を作成したということでしょう。舞台はスェーデンですが、出演者はほぼ英国人、言葉も英語です。

地名、人名は現地語、一部英語風に置き換えています。これならいっそ、舞台そのものを英国に置き換えてみるのも悪くなかったかと思いますが、ヴァランダーは現地語発音で、ドラマの中では英語風にウォランダーと言っています。

小さな港町イースタ暑勤務の刑事、ヴァランダーがそのねちねちとした執拗な捜査手法で三つの事件を解決に導くという、3話構成ですが、1話が1時間半なので、劇場用映画と変わりません。

最近この種の海外刑事ものシリーズをよくみますが、共通して主人公の一匹狼的刑事は署内では割に浮いていて、あまり部下たちに信用を置かず、自分で行動しがちな身勝手な男。しかも、家庭生活は円満とは言えず、多くは離婚していて、娘がどんなダメ親父でも遠くから支えている、というパターンですが、本作はまさにその典型。登場する娘がえらく美人なのが本作の特徴かな。

北欧独特の重い空気感で満たされ、独特の気候もあいまってどうしても暗いイメージがつきまとうのは仕方ないことと、愚亭も最初から諦めています。そういうところで起きる事件も殺伐としたものか、猟奇的なものが多く、見ていてかなり陰鬱な気分になりがち。

本作もそこを逆手にとって、うまいこと作り上げています。撮影もすばらしいし、さらには音楽の効果が抜群です。ブラナーの演技も手伝って文句なく佳作。トム・ヒドルストンがつい最近みた「ナイト・マネジャー」と違ってテンパー頭で初々しい演技を披露しています。