ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ある男」@AmazonPrime

240321 久しぶりの邦画です。監督・編集:石川 慶、脚本:向井康介

間違いなく佳作!久々の邦画で、このような良質な作品が見られてラッキーでした。原作が、あの小難しい作品ばかりかと思っていた平野啓一郎だということも意外でした。

ある地方都市、文具屋経営で細々と生計を立てているシングルマザーの里枝(安藤サクラ)のところへ、ある日、見知らぬ男(窪田正孝)がスケッチブックを買いにくるところから物語は始まります。

やがて、この谷口と名乗る男と再婚し、女の子をもうけ、幸せな家庭を築くのですが、ある日、伐採作業中の事故で谷口は亡くなります。葬儀に現れた谷口の兄にあたる人物が焼香に来ます。仏壇の写真を見て、これは弟ではないと。では、いったい???

1/3を過ぎたあたりで、主人公とも言える弁護士(妻夫木 聡)が満を持して登場します。どこから見ても善人ですが、実は在日3世ということですが、どこかにその出自ゆえの屈折を抱えて生きています。見事に謎解きをしていくのですが、絵に描いたような幸せな家庭を築いているように見えますが・・・。

ラストシーンがいわくありげで幕!里枝を演じた安藤サクラ、ここでも自然な演技で上手いです。弁護士役の妻夫木 聡もいいですが、柄本 明の怪演ぶりも大いに称賛されるべきでしょう。来年の大河の主演が決まっている仲野太賀がなかなか登場しません。終幕あたりでやっと登場しますが、たったの数分、しかもセリフなしって!ずいぶん贅沢なキャスティングです。

それから子役たち、みんな実に上手いです。

冒頭とラストシーンで使われたルネ・マグリットの「複製禁止」という絵