ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」

211018 NO TIME TO DIE 米 163分 監督:ケアリー・ジョージ・フクナガ(日系4世)

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自分では引退したつもりでジャマイカでのんびりしていたら、突然呼び出されての大仕事、まあいつものパターンですが・・・。やはり噂に違わず楽しめました。

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ショーンには敵わないかも知れないけど、実にかっこいいクレイグ。背広姿もビシッと。

本作が007シリーズ、25本目で、好評のダニエル・クレイグはこれでボンド役は卒業らしいです。さすがに寄る歳波には勝てないということのようです。ま、でもよくやりましたよ。やはりいくらスタントを使うとは言え、本人も相当危険な演技をしなくちゃいけませんし、奥さんのレイチェル・ワイズにも説得された結論らしいです。

残念ですが、そういう事情なら仕方ないでしょう。なんでも6年前の「007 スペクター」での撮影中に大怪我を負い、今でも完治していないということですから、こうしたアクションスターがどれほど危険な思いをしているかが伺いしれようというもの。

25作目はシリーズ打ち止めではなく、次は誰がボンド役を射止めるか分かりませんが、まだ続くようです。エンドロールの後に、007 WILL RETURNという文字が浮かびます。それにつけても、寅さんシリーズの50作(最後は、それまでのフィルムを繋ぎ合わせたものでしたが)という金字塔がいかに凄かったか!それも同じ俳優ですからね。

いっぽうのボンド役、初代のサー・ショーンから数えて6人目ですからねぇ。ショーン・コネリーが「ドクター・ノー」から「二度死ぬ」までの5作。プロダクションの違う「ネヴァー・セイ・ネヴァー・アゲイン」も加えれば6本ということで、3代目ロジャー・ムーアと並びます。他に4本を演じたピアース・ブロスナン、2本のティモシー・ダルトン(ドールトン)、1本しか撮らなかったジョージ・レーゼンビーと、渥美 清一人に対して6人ですからねぇ!

愚亭は25本すべてリアルタイムで見ていますが、どれもこれも大いにがっかりしたという作品は見当たりません。ずいぶん長期にわたって楽しませてもらっています。

本作で気づいたことは、配役には最近の人種事情を反映してか、白人以外を多用していることでしょうか。これも時代の流れですかね。それと、ラスト近くの堅固な要塞の中でレミ・マレック扮するサフィンという敵の親玉と対決する場面は、なんと畳を敷き詰めた舞台、しかもボンドはそこで土下座するから、さすがにちょっと意外感。尤も、日本近海の島という設定なので、その辺を意識したのかも。

まあツッコミどころはいくらでもあるのですが、そういうのは一切捨てて見ないと、こうした作品は楽しめませんからね。余計なことは考えないことです。ただ画面に身を任せていればいいのです。冒頭の南イタリアのマテーラでのシーンは痛快でした。特に狭い山間部でのアストン・マーチンのカー・チェイスは見どころの一つでしょう。

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マテーラでの撮影風景。今回は65mmのフィルムを使用したIMAX撮影。

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この後、墓に仕掛けられていた爆薬が炸裂、ボンドは吹き飛ばされます。

最近の作品はどれもいきなり物語がスタートして、エンディングでたっぷりとスタッフ・キャストを延々と映し出しますが、この作品はオープニング・クレジットもしっかり流してくれますし、それがまた洗練されていて、楽しいのです。それと例の007の主題歌もしっかり聞かせてくれます。

エンディングで流れるのはルイ・アームストロングが歌うWE HAVE ALL THE TIME IN THE WORLD(愛はすべてを超えて)で、「女王陛下の007」で使われたテーマ曲。他にも「殺しのライセンス」などというセリフもあったりで、結構過去の作品へのオマージュと思しきものが出てきます。こういうのも楽しいですね。

ところで、今回のボンド・ガールはレア・セドゥーという地味なフランス人。愚亭は好きな女優ではありますが、美人ではないですね。でも、愛嬌があるというか、可愛らしいタイプ。むしろパロマ役のキューバ出身のアナ・デ・アルマスがボンド・ガールにふさわしいのかも知れません。

減ってきたとは言え、まだコロナ禍ということで、場内は結構ガラガラでした。最も封切りからずいぶん経っているからかも知れません。そう言えば、長く映画館にきていない間に、例の”映画泥棒”も様変わりしていました。まだそんな被害、あるんですかねぇ。もう、これって、流さなくてもいいと愚亭は思いますが。

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オープニング・セレモニーでキャサリン皇太子妃と。後ろはレア・セドゥー