ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「マザー・ファーザー・サン」@Amazon Prime

230324 MOTHER FATHER SON 米 TVミニ・シリーズ 1シーズン、全8話 7h39m

いかにもいわくありげなタイトルと上のポスターの図柄です。家族をテーマに取り上げています。一部モデルとなっていそうなのがメディア王と言われたルパート・マードックです。

本作のメイン・キャスト、リチャード・ギアが演じるマックスという男はアメリカ人という設定で、イギリス人と結婚して息子をもうけ、活躍の舞台はイギリスなのです。映画の中でも、彼だけが米語を、そしてその他のキャストは英語です。

メディア王と言われるぐらいですから、そりゃもう後ろ指さされるほどの汚い手を用いてのし上がってきたことは容易に想像できます。ですが、その影には犠牲になった妻子が。

妻は長男ケイデン(ビリー・ハウル)誕生後、離婚されます。ケイデンは後継ですから、彼が所有する、まあタブロイド紙に毛が生えた程度のナショナル・リポーターという新聞社の主幹を任されているのですが、凡庸で父親の期待通りの働きをしていません。

そんな彼が交通事故に巻き込まれ、脳を損傷してから、家庭関係に大きなヒビが入ります。実は・・・。

合間合間にマックスの幼少時代がフラッシュバックされます。マックスの親父っていのがまた変わり者というか稀代のやり手実業家で、鉄鋼業で一財産を築いた男。彼が幼いマックスに施した教育がとんでもないもので、このトンデモ親父のせいで、彼の歪んだ性格が生まれたようです。このトンデモ親父を演じるのがアイリッシュのキアラン・ハンズ、相変わらず強烈な個性を発揮し、存在感タップリ。画面にいるだけでアツを感じるほど。

7話までは大いに盛り上がるのですが、最後の8話でずっこけましたね。なんですかねぇ、この終わり方は。もったいない、せっかくいい線、行っていたのに。

人種問題やらLGBTQ問題やら、現実に英国を蝕んでいるようなテーマも取り込み、なかなか骨のある社会派ドラマに見えたのですがねぇ。惜しかったです。

息子役のビリー・ハウルが上手いです。どこかで見た顔と思ったら、やはりテレビドラマシリーズ、「ザ・サーペント」で、パッとしない駐タイ・オランダ大使館の参事官を演じていました。はっきり不細工ですが、演技は立派です。